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こんにちは。10年ほどペン画家として活動をしている安藤光と申します。
今回は、個展やグループ展、ポートフォリオなどで必要になってくる
作品テーマの考え方と書き方についてお話しします。
私自身、まだまだ言葉にするのが難しいと感じる場面もありますが、
この記事が少しでもヒントになれば幸いです。
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なぜ作品テーマが必要なのか?

画家として活動していると、雑誌の記事、公募展、アーティスト・イン・レジデンス、企画展などで作品テーマやステートメントを求められることがあります。特にポートフォリオやコンペの提出書類において、テーマの言語化は非常に重要です。
作品テーマとは何か?
作品テーマとは、「なぜこの作品を描いたのか」「何を伝えたいのか」という作者の中核となる考えや感情です。
これは、活動を長く続けていくための“軸”になります。テーマが曖昧なままだと、外部からの影響に流されやすくなり、結果的に作品の一貫性が失われてしまいます。
深みのある作品とは、その背後に強いテーマ性があるからこそ、他と差別化され、印象に残るのです。
作品テーマに含めるべき内容

以下の3つを順に書いていくと、読みやすくまとまりのある作品テーマになります。
・自分自身の背景や、制作の動機
・作品や制作活動に共通するテーマ
・今後の展開や、やりたいこと
また、ポートフォリオ全体の統一感を保つためにも、
掲載する作品と関係の薄い内容はなるべく避けましょう。
作家のパーソナリティと作品との結びつきが強まることで、
より説得力のあるテーマになります。
テーマの考え方・書き方の実践ステップ
① テーマの抽出
まずは、作品を構成する要素を洗い出してみましょう。
ステップ1:共通する要素を見つける
例:「写実」「動物」「カラフル」「ペン画」
ステップ2:その要素が与える印象を言語化
写実 → リアル、現実
動物 → 生命、野生、ペット
カラフル → エネルギッシュ、元気
ペン画 → 細密さ、シャープ
ステップ3:要素をもとにテーマをまとめる
例:「野生動物の過酷さ、懸命に生きようとする姿勢を身近にあるペンで克明に描く」
ステップ4:補足して文章化する
例:
「この厳しい現代社会を生き抜く人々を、泥まみれの野生動物に重ね、あえてカラフルに描くことで、過酷な環境でも必死に生きようとする生命力と希望を表現しています。」
このように、視覚要素や手法からテーマを組み立てていくと、自分の作品全体に共通する「意味」が明確になります。
② 制作の動機を明確にする
次に、自分自身の背景や経験が、作品テーマにどう影響しているかを言語化します。
重要なのは、「なぜそのテーマを扱っているのか」という根拠やストーリーを持たせることです。
例:
「○○という出来事がきっかけで、今の社会に生きる同世代への関心が高まり、その視点から作品テーマを掘り下げるようになりました。」
こうした背景が加わることで、作品に深みと一貫性が生まれ、より記憶に残るものになります。
反対に、あまり関係のないエピソードは極力省いたほうが、内容がぶれずにまとまります。
③ 今後の展望を書く
作品テーマや動機をベースに、これからどんな作品を作りたいのか、どんな活動に取り組みたいのかを書いてみましょう。
ポイントは、唐突な内容ではなく、これまでの流れを踏まえた自然な展開にすること。
例:
「これまで描いてきたA、Bという作品を再構成し、“〇〇”というテーマでシリーズ化していく予定です。」
展覧会の参加予定や、アートプロジェクトへの意欲なども織り交ぜると、読者に今後の活動イメージが伝わりやすくなります。

書いたテーマをどう構成するか?
記事全体としては、以下の順番で構成すると整合性が取りやすいです。
- 自分自身の背景・制作の動機
- 作品や制作活動に共通するテーマ
- 今後の展開ややりたいこと
文字数が足りないと感じた場合は、それぞれの項目をさらに掘り下げてみてください。
おわりに
アート作品は、感覚・経験・思想などが複雑に絡み合った表現です。
言葉だけで語り尽くすことはできませんが、
テーマを明確にすることで、
作品に厚みと説得力が加わります。
そもそも、文章は作品の“補足”であって、作品そのものではありません。
だからこそ「表現」と「言葉」が組み合わさって、
初めて強いメッセージが生まれるのです。
現代アートの多くは、テーマ性が重視されています。
特に、テーマに特化した作品群は強い印象を与えやすく、発信力も増します。
ここで紹介した方法以外にも、展覧会で他作家のポートフォリオを読むことも学びになります。
最終的に大切なのは、自分の言葉で書くということです。
活動を続けていくうちに、
「なぜ描くのか」「何を描いているのか」
が明確になり、それにともないテーマの文章も深まっていくはずです。
まずは、わかりやすく、簡潔に書いてみるところから始めてみましょう!
それでは、また!