画家になるには?はじめての画家活動ガイド

まず知っておきたい「画家活動」のいろいろ

「画家になりたいけど、どうやって始めればいいの?」
これは多くの人がつまずく最初の疑問です。

描くジャンルも人それぞれ、予算も時間も限られている中で、何をどう選んで進んでいけばいいのか迷いますよね。

私自身、右も左もわからない状態から、少しずつ展示や販売の場に飛び込んできました。
そしてわかったのは、「正解なんてない」ということ。
でも、選択肢を知っていれば、きっとあなたに合った道が見つかるはずです。

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ぼったくられたり、将来黒歴史になっても、それも勉強です(泣)

活動の種類と特徴|あなたに合う方法は?

まず、画家活動にはこんな選択肢があります:

  • 海外展
  • ギャラリー企画展
  • グループ展
  • 公募展
  • 同人誌即売会
  • アートフェア
  • フリーマーケット
  • 個展

など。活動の仕方は人それぞれ。

「えっ、こんなにあるの?」と驚かれるかもしれませんが、
メジャーな活動をひとつずつ解説していきます。

海外展|夢はあるけど慎重に

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出品相場:1点4万円前後(輸送費込み)

私は海外展で賞をいただき、招待で展示したことがありますが──
・作品が返ってこない
・額が壊れて帰ってきた
なんてことも実際にありました。

しかも、日本でまだ売れていない作品をいきなり海外に出しても、まず売れません。運だけに頼るのはリスクが高すぎます。

とはいえ、語学力があって現地で活動できる覚悟があるなら、挑戦する価値はあります。
でも無理して海外展に出なくても、SNSを通じて海外に発信することは今の時代、誰でも可能です。

海外のギャラリーから「出展しませんか?」という勧誘メールが届くことがあります。
詐欺ではないにしても費用は相場を無視した法外な出展料が多いので要注意。

ギャラリー企画展|目指すならここ!

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出品相場:無料〜

ギャラリーが企画する展示に選ばれると、
場所代無料で展示できます。
作品が売れたらギャラリーと売上を分ける方式です。

ただし、これは「誰でも出られるわけではない」展示。
ギャラリーが取り扱いたい作家を選ぶ形式です。

コツコツ実績を積んだり、公募展で賞を取ると声がかかることも。
実際に私は公募展の賞をきっかけに、企画展で個展を開催できました。

グループ展|最初の一歩にぴったり

出品相場:数千〜5万円程度(展示範囲横1m=1万円前後)

まだ実績がない段階でおすすめなのが、グループ展。
複数の作家が一緒に展示する形式なので、費用も抑えめです。

メリット:

  • 他の作家のファンに自分の作品を見てもらえる
  • 準備や設営など展示の流れが学べる
  • 作家仲間と出会える

ギャラリーの中には、グループ展の作家から将来的に個展を任せる人を探しているところもあります。
特に「企画ギャラリー」と呼ばれるタイプのギャラリーが狙い目です。

公募展|評価を受けたいならここ

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公募展の主旨や目的をよく吟味して

出品相場:無料〜3万円程度

美術雑誌やギャラリー、自治体などが主催する公募展は、「今の実力を試したい人」に向いています。

公募展には3つのタイプがあります:

地方のビエンナーレ・市展
 費用は安く、展示経験を積むには◎。ただ、販売には繋がりにくい傾向があります。

団体主催(○○会など)
 年会費がかかることもあり、正直、若い人にはハードル高めです。
搬入出は専門業者を使う条件だと送料も高額に。

ギャラリーや雑誌主催
 筆者の実感としては、最も「次につながりやすい」公募展。
 賞を取れば展示のチャンスが広がることも。

同人誌即売会|知ってもらう場として優秀

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ファン獲得するにはコスパ◎

参加費相場:1000〜6000円

「コミケ」に代表されるイベントですが、一次創作(オリジナル)の参加も可能です。

私は、最初は抽象画のポストカードだけで参加しました。
名刺やDMを配ったり、作品を知ってもらうには絶好の場所です。

趣味の人も多いので、「売れなくても気まずくない」のが安心ポイント。
周りに刺激されてやる気も出ますよ。

以下リンクが全国で同人誌即売会を主催している大手団体
開催予定のスケジュールも確認できます

 スタジオYOU

 赤ブーブー通信社
他にも地方独自で行っている即売会もあります。

アートフェア|本気で売るならここ

ブース形式で各作家が作品を展開

出展相場:2万〜10万円以上

プロ作家やギャラリーが出展する本格的なイベント。
審査がある場合も多く、注目度も高いです。

ただし:

  • 出展費・滞在費などコストはかなり高い
  • 搬入・設営・接客などやることが多い

そのぶん、ちゃんと準備して挑めば、プロのバイヤーやコレクターに出会えるチャンスも。

国内のアートフェアだと

・東京アートフェア
・東京インターナショナルアートフェア
・ARTISTS’ FAIR KYOTO
・Art OSAKA
・SICF(スパイラル・インディペンデント・クリエイターズ・フェスティバル)
・Independent TOKYO
他にもまだまだあります。

アートフェアに近い形式でジャンルが多岐にわたるデザインフェスタも個人で出れて敷居が低いほうです。個人で出る分準備が大変ですが・・・

アートフェアも作家個人を対象に公募しているものもあります。
その場合、略歴や作品コンセプト、作品画像などポートフォリオの提出を求められることもあります。

フリーマーケット|低コストで知名度UP

相場:無料~数千円

私は無料のものしか出ません。元々原画を買う目的で来る人は限りなく0に近いです。
名刺やDMを配り、
ポストカードや缶バッジなど手に取りやすいグッズを販売し、
原画を展示するなど知名度UPに利用します。
参加無料だと販売できれば収益になります。
ただ本来は中古品を売る場なので値引きの要望やグッズ盗難などのリスクもあります。

個展|自由度が高く、責任も大きい

吉祥寺での毎年夏に個展やってます

出展相場:3万〜20万円以上(貸しギャラリーの場合)

「いつかは自分の個展をやってみたい」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。

個展は、言うなれば自分だけの表現空間です。
すべて自分で決められる反面、来場者の数や売上、反応もすべて“自分の責任”になります。

個展の種類と費用

  • 貸しギャラリーでの開催
     相場は3〜10万円前後。立地・広さ・日数によって変わります。
     売上が出てもギャラリーによっては手数料がかかります(0〜30%程度)。
  • 企画ギャラリーでの開催
     場所代無料、売上の50%を手数料として納める形式が多いです。
     これは「選ばれた作家」のみに開かれた場で、公募展受賞や過去の実績が必要です。
  • カフェや雑貨店の壁面を借りる
     費用は無料〜数千円の場合もありますが、展示方法や作品サイズに制限があることも。

個展をやってよかったこと

  • 世界観をまるごと見せられる
  • 来場者とじっくり話せる
  • 作品やコンセプトに対して深い反応が得られる
  • プレスリリースやSNSなど「公式感」を出しやすい
  • 過去展示の実績として履歴に残る

注意点

  • 全部自分でやる(宣伝・搬入・展示・在廊・撤収)ので大変
  • お客さんが全く来ない日もある
  • 販売がなく赤字になることも普通にある
  • 集客に自信がないと心が折れやすい

とはいえ、たとえ赤字でも「自分の表現をきちんと空間で見せた経験」はかけがえのない財産になります。
初めての個展は、展示のノウハウや自己プロデュース力を鍛える絶好の機会でもあるのです。

「いきなり個展は不安…」という方は、まずはグループ展や公募展で経験を積みましょう。
ある程度作品が揃ったら、小さなスペースで個展に挑戦してみるのもおすすめです。

おわりに|行動すること、それがすべて

画家になるには、資格も免許もいりません。
だからこそ、「やってみる」ことが一番大事です。

最初は失敗してもOK。黒歴史になっても、それがいつか血肉になります。

展示する、グッズを作る、SNSで発信する──
すべてが画家活動です。

人生は有限。「うまくいくか」よりも「やるかどうか」。
一歩踏み出したあなたは、すでに画家です。
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