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こんにちは、ペン画家の安藤光です。
今回は、画家・アーティスト活動に欠かせないポートフォリオについて、
目的別にどう作り分けるかを解説していきます。
作品だけ並べておけばいい? いえ、それでは“ただの作品ファイル”止まりです。
審査員に届くポートフォリオと、買い手に刺さるポートフォリオはまるで違います。
提出先の性質や、見てくれる人の視点を考慮して構成しないと、せっかくの作品も活かしきれません。
関連記事:プロの画家を目指すなら知っておきたいポートフォリオの基本
公募展応募用ポートフォリオ

ポイント:審査員に”作品の軸”を伝える
審査員は「数百点単位の作品」を見る立場。だからこそ、作品の完成度・一貫性・コンセプトが伝わることが何より重要です。
- メイン作品を中心に少数精鋭で構成(10〜15点程度)
- 各作品にタイトル/制作年/技法/サイズ/簡単な説明文を添える
- ステートメントでテーマの背景を説明
- 作風がぶれていると判断されるとマイナス評価になりがち
おすすめ構成順:
- 表紙(名前・作品ジャンル)
- ステートメント
- メイン作品一覧
- 制作風景やメイキング(可能であれば)
- プロフィール・連絡先
NG例:
- 完成度の低い過去作まで全部入れる
- テーマが毎ページでバラバラ
- 作品画像が暗く、画質が粗い
ギャラリー営業用ポートフォリオ
ポイント:取扱作家候補としての印象を作る
ギャラリーオーナーは、売れる作家・育てたい作家を探しています。 つまり、作品の魅力+作家としてのビジョンや継続性が重要です。
- 作品の幅(シリーズ違い/作品の変遷)を見せる
- 価格帯の目安や販売実績を掲載
- 展示風景や、グッズ展開の様子も載せる
- 今後の展望や制作計画があれば明記
おすすめ構成順:
- 表紙(作家名・キャッチコピー)
- ステートメント(販売向けにわかりやすく)
- 代表作と価格帯(売約済の明記も)
- 展示風景・過去のDM・イベント記録
- プロフィール・SNS・連絡先
NG例:
- 金額が書いていない(問い合わせが面倒になる)
- 作品以外の実績が弱く、活動継続性が不明
展示会場用ポートフォリオ

ポイント:観覧者の“滞在時間を延ばす”
展示に来てくれた人がポートフォリオを見るというのは、**「もっと知りたい」**という表れです。 感覚だけで見ていた作品に、言葉や裏話で奥行きを与える役割を持ちます。
- ステートメントはわかりやすく噛み砕いた表現に
- 作品ごとのメイキングや裏話、短文エッセイを添える
- グッズやポストカードも実物と一緒に紹介
おすすめ構成順:
- ステートメント(来場者向けにやさしく)
- 展示中の作品解説・エピソード
- 制作風景・画材紹介
- 作者のQ&Aコーナー(なぜこのテーマ?など)
- SNS・オンライン販売への導線
NG例:
- 活字ばかりで読む気が失せる
- 作品リストの羅列だけで個性が見えない
販売・営業用ポートフォリオ(企業・商業向け)

ポイント:信頼と実績を視覚で伝える
作品の魅力は当然ながら、**「発注しても大丈夫か?」**という点がチェックされます。
- 企業やブランドとコラボ実績があれば写真付きで記載
- 制作期間・納期・得意なスタイル・受けられる案件ジャンルなど明記
- 価格表・発注の流れ・納品形式(データか原画か)など実務的な情報も
おすすめ構成順:
- 作家紹介(顔写真と肩書き)
- 過去の取引先・実績紹介
- 作品一覧(ジャンル別に)
- 価格帯・納期目安・依頼方法
- 連絡先・公式サイト
NG例:
- 実績が曖昧で信頼できない印象を与える
- ビジネスに必要な情報が不足している
おわりに:ポートフォリオは相手によって変えて当然!
ポートフォリオは「自己紹介」と「営業ツール」の間のような存在です。
提出先や閲覧者が変われば、見せ方も変えるのが当然。
ひとつ作って終わりではなく、**目的に応じた“複数バージョン”**を用意しておくのが、活動の幅を広げるコツです。
あなたの作品がより届くよう、伝え方にも戦略を。ぜひ今回の内容を参考に、ポートフォリオを見直してみてください。