失敗しない額縁とマット紙の選び方|作品を引き立てる額装の基本

こんにちは、ペン画家の安藤です。

今回は「額縁の色ってどう選べばいいの?」「油彩額とデッサン額って何が違うの?」という、額装についての疑問にお応えしていきます。

作品を魅力的に見せるためには、額縁やマット紙の選び方が非常に重要です。
この記事では、
額縁の種類から、
マット紙の選び方、
色の基本、
迷った時のおすすめまで、
実践的な額装のコツをお伝えします。

【関連記事】【額装するなら】ガラス額とアクリル額【オススメは○○額】

額縁の種類と違い

● 額には大きく2つの種類がある

額縁には多様な種類がありますが、美術作品用としては以下の2つに大別されます。

  • デッサン額(一般額):薄い紙や布、ボード作品向け
  • 油彩額(パネル作品向け):厚みのあるキャンバスや木製パネル用

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

● デッサン額(一般額)

デッサン額は、厚さ3mm程度までの紙作品、写真、布地などを収めるための額です。サイズ展開も非常に豊富で、ほとんどの平面作品に対応可能です。

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マット紙の有無で印象が変わります

【ポイント】

  • マット紙を間に挟んで額装するのが基本。
  • 作品とアクリル板の直接接触を避けることで、経年劣化を防ぎます。
  • 描いた紙サイズ(例:F4)と同じサイズの額縁に入れるのではなく、
    マット紙で余白を設けた一回り大きな額を選びます。

マット紙の役割と重要性

マット紙は、単なる「装飾」ではありません。以下のような機能があります。

  • 作品とアクリル板の接触防止
    → アクリル樹脂の同化作用により、接触していると作品がくっついてしまう危険があります。
  • 吸湿性
    → 湿気による結露を吸収し、作品をカビや変形から守ります。
  • 視覚的余白の演出
    → 作品がより映えるように見せる、額装の基本テクニックです。

わずか数ミリの空間が、作品の保存と見栄えの両方を支えているのです。

● 油彩額

油彩額は、キャンバスや木製パネルなど、厚みのある作品用の額縁です。絵画用の「号数」規格に基づいて作られており、サイズの融通が効きにくいのが特徴です。

【ポイント】

  • 額と作品の間に「ライナー」と呼ばれる布張りのスペーサーが入ることもあります(マット紙と似た役割)。
  • サイズが合わない場合、特注が必要になる。
  • 表にガラス板がないタイプも多く、展示のみの「仮額縁(カリガク)」もよく使われます。

額縁とマットの色選びの基本

● 額縁の色選びは「中と外」の両視点で

額縁は作品を引き立てるだけでなく、「作品と部屋を繋ぐ橋渡し役」も担います。
つい作品だけを見て選びがちですが、飾る空間との調和も考慮すべきポイントです。

【おすすめ色】

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木製の額使用例
  • 木目調
  • 金(暖色系作品に合う)
  • 銀(寒色系作品に合う)

これらは空間にも作品にもなじみやすく、失敗が少ない万能選手です。

● 額の色選びのコツ3選

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額を作品の色に合わせた例
組み合わせ適した作品
金×暖色系赤・オレンジ・黄色ベースの作品
銀×寒色系青・緑・紫ベースの作品
額縁の色=作品の主色まとまりが出て安定感のある印象

※ただしこれはあくまでガイドライン。表現意図を優先してください。

※これが絶対というわけではありません。
迷ったら額縁屋さんに依頼するのも一つですが
経験のため自分で選んで額装するのをオススメしておきます。

マット紙の選び方

● マット幅の理想値

  • 片側25~80ミリが目安。
  • つまり、作品の窓抜きサイズよりも上下左右合計で50~160ミリ大きい額縁が必要。

マット幅を均等に取れればベストですが、市販品では多少のずれ(10~15ミリ)は許容範囲です。

● 長手方向の幅は広めがベター

  • 長手方向のマット幅が広いと、安定した印象になります。
  • 逆に、短手方向が広いとバランスが悪く感じるので注意。

● 油彩額には「ライナー」も検討

見た目の豪華さと、作品との間のスペースを確保する機能も。

油彩額には布張りの「ライナー」がセットされることがあります。

迷ったときのおすすめ額装セット

● とりあえずコレ!

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木目や白い額の使用例
  • マット紙:無彩色(白・グレー・黒)
  • 額縁:木目・白・金・銀の細身タイプ

この組み合わせは、空間にも合わせやすく、多くの作品に対応できる汎用性の高い選択肢です。

販売や譲渡を前提にした作品、あるいは展覧会後に額を再利用したい場合にも向いています。

※マット紙に直接作品を貼っている場合は、無理にはがさず、新しいマットを注文する方が安全です。

先に解説した
「部屋に飾るのを想定して」という理由のほか
上記の組み合わせは大体の作品に合う汎用性があります。

その反面、個性、インパクトに欠ける欠点がありますが・・・

万が一個展やグループ展で何年も売れ残った場合、
汎用性が高いゆえに、
中身を別作品に入れ替えた際に
マッチしやすいメリットがあります。

※マット紙に作品が固定されてる場合はマット紙からはがすより
新しくマット紙を注文したほうが失敗は少なくて済みます。

オススメ額縁通販サイト

私が使ってるオススメ額縁通販サイトを紹介します

■マルニ額縁画材店

額縁通販・画材通販のことならマルニ額縁画材店

■額のまつえだ

額縁 – 激安通販 | 額のまつえだ / 油彩・水彩・デッサン額専門店

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額縁のタカハシ 額縁工場を直営する額縁の大型専門店

ほかにも探すと通販サイトはたくさんあります。

まとめ|自分で選ぶからこそ、作品に愛着が増す

額縁やマット紙は、ただの「装飾」ではなく、
作品を守り、引き立て、居場所と調和させるための大切な要素です。

額装を額縁屋さんに頼むのも一つですが、
まずは自分で選ぶことをおすすめします。

自分で選び抜いた額に作品を入れると、驚くほど愛着がわくはずです。

ぜひ、額選びも「創作」の一部として楽しんでみてくださいね。