はじめての万年筆【ペン先の太さ・素材・インク吸入方式】を解説

こんにちは!
はじめて万年筆を使う方
万年筆についてよく知りたい方
購入を検討している方

などに向けた万年筆の基礎知識を解説していきます。

ペン先の太さ

万年筆にはペンポイントというペン先の先端に球体の部分があり
この大きさによって字幅が決まります
字幅にはそれぞれ表記がありブランドによって同じ表記でも若干の違いがあります。


太さの表記

EF 極細(エクストラファイン)
・・・ペンを立てて書く方向け、一般的に販売されている最細の線。手帳に書き込む際やペン習字など
F 細字(ファイン)
・・・普段のノートやお手紙、履歴書など一般的な細字用。初めて買う万年筆にオススメ
FM(MF) 中細字(ファインミディアム)
・・・日記やお手紙など幅広く使える字幅
M 中字(ミディアム)
・・・一般的な中字用。お手紙などやや大きな字を書く時にオススメ
B 太字(ブロード)
・・・一般的な太字用。宛名やチェック、サインなどに、やや寝かせて持つ方にオススメ
BB 極太(ブロードブロード)
・・・宛名やチェック、サインなどに。やや寝かせて持つ方にオススメ
Z(ズーム)
・・・太い字から細字まで強弱ある線が自在に書ける
MS(ミュージック)
・・・元は楽譜用。縦線は太く、横線は細い字が書ける。カリグラフィー用など用途は多彩。立てて持つ方向け

ブランド独自のペン先も。
PO(ポスティング)・・・ペン先の開きが少なく強弱のない一定の極細字が書ける
UEF超極細(ウルトラエクストラファイン)・・・紙をひっかくような丸ペンに近い極細さ、ゆえに紙の繊維を巻き込みやすい。EFよりさらに細い字を書くために。

ほかにもブランドごとに特徴あるペン先があります。

ペン先の素材

ペン先には金やそれに近いコーティングがされています。これはインクに含まれる酸性成分のよる腐食を防ぐためです。ほかにも日本の漢字に対応するトメ、ハライを表現するためペン先に弾力を待たせるため金のほかに銅や銀が含まれる合金で出来ています。
金が含有されているものは金ペンと言われ14Kや21Kと表記されます。
ステンレスや金を含まない合金製の場合は鉄ペンと呼ばれ金ペンと区別されています。

ステンレス
耐酸性が高く、酸性のインクに対しても腐食に強く、長年の使用に耐えられるようになっています。
筆圧の影響をあまり受けない硬めの弾力があります。
金の含有がなく比較的低価格な万年筆によく採用せれています。

14K
耐酸性が非常に高く、酸性インクに対して腐食に強く、長年の使用に耐えられるようになっています。金含有の分鉄ペンよりしなやかさがあり、弾力もあるため強弱ある筆致感があります。
価格は2万円~が多いです

18K
耐酸性が非常に高く、酸性インクに対して腐食に強く、
長年の使用に耐えられるようになっています。
14Kより金含有率が高く柔軟性があり筆圧によって字幅の抑揚がつけやすくなります。

21K
耐酸性が非常に高く、酸性インクに対して腐食に強く、長年の使用に耐えられるようになっています。
ペン先の中では最上級のしなやかさ、腰があり高級な万年筆によく採用されます。

ペン先の弾力

弾力は金の含有料が多くなれば増しますが
そのほかにペン先の大きさ、素材の厚み、ハート穴によっても変わってきます。
地金の厚み・・・地金を厚くすれば硬く、薄くすれば軟らかくなります。
湾曲度・・・ペン先は湾曲加工されていますが湾曲が深いほど弾力は硬く、浅いほど軟らかくなります。
ハート穴・・・スリットの根元にある穴でこの穴の大きさや位置によって弾力が変わります。
穴の形状が大きいほど筆圧が横に逃げるため軟らかくなり、穴が小さいほど硬くなります。また先端に近いほど硬くなります。ハート型以外にも〇◇などブランドによっても形状は様々です。

インク吸入方式

カートリッジ式

インクの入ったタンクを万年筆に差し込むだけで使用できます。
ボールペンと一緒でインクがなくなったら交換します。

メリット・・・
持ち運びもしやすく出先でもインクを補充できます。
インク交換も簡単・スピーディーにできます。

デメリット・・・
ボトルインクより価格が割高で手軽さと引き換えにコスパは悪いです。
ボトルインクは発売されていても同じ色のカートリッジは発売されないことが多く、
一般的には万年筆と同ブランドのカートリッジしか使用できないのでインクの選択肢が狭まります。

吸入式

インクボトルから直接万年筆の本体に吸い上げることで万年筆の内部にインクを補充します。
もっとも古くからある仕様で
スポイトのように最後部を引いたり
万年筆胴軸最後部の「尾栓」が回転しインクを吸入します。
メーカーによってこの吸入機構は様々でプランジャー式、ピストン式などたくさんあります。
高級ブランドによく採用されている機構です。
インクを吸入するプロセスが他のペンでは体感できない「万年筆を使っている」満足感があります。

国内だとパイロット社で2万円台で吸入式の万年筆が発売されています。
カスタム ヘリテイジ92 
ペン先も14金で初めての吸入式万年筆にオススメです。

メリット・・・
コンバーターは長く使っていると傷んできますが吸入機構は耐久性があります。
インクを一度に大量に吸入でき長時間連続で筆記できます。

デメリット・・・
カートリッジ・コンバーターが使用できません。
ボディがスケルトンではない場合どのくらいインクが残っているか分からないことです。
これはコンバーターでも同じことが言えますが
吸入式の場合インクが入った状態で胴軸を弛めればインクが漏れ、手が汚れる可能性もあります。

コンバーター式(両用式)

コンバーター(万年筆によって違います)

スポイトのような取り外し可能なタンク(コンバーター)を装着し、ペン先からインクを吸い補充します。吸入式と同じやり方ですが、カートリッジとコンバーター両方使える仕様なので両用式と呼ばれます。現在の万年筆はほとんどこのタイプです。

メリット・・・
使う場面に応じてコンバーターとカートリッジを使い分けられる点です。
インクボトルからインクを補充できるので色の選択肢が増えます。
破損してもコンバーターだけ交換すればいいのでコストパフォーマンスに優れています。

デメリット・・・
万年筆を買っても付属していなく別売りであることが多いです。
吸入式と比べて一度に吸入できるインクの吸入量が劣ります。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

万年筆の基礎知識(ペン先の太さ、素材、吸入方式のメリット・デメリット)
を解説しました。
これから万年筆を使ってみたい方や初めて使う方などの参考になれば幸いです。

初めての万年筆は
カートリッジ・コンバーターどちらも使える両用式
インクの残量が見えるスケルトン軸(色やデザインが気に入れば)
がオススメ

まずは難しく考えずに使ってみることが大切です。
慣れてくると重量でインクの残量が分かるようになったり、
手を汚さずスピーディーにインクを補充できるようになりますから
2本目、3本目が欲しくなったら吸入式を検討してみるのもいいかもしれませんね。

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