目次
ペン画を描いて全国で活動している安藤光と申します。
2024年現在までに4回のグループ展を主催、17回の個展、
イベント、展覧会など100回以上出品してきました。
そんな私なりの個展の準備方法(2024年版)をまとめました。
私の場合は毎年1回夏に個展をやっていますが本記事では
「初めての個展を貸しギャラリーで」行う場合の準備をまとめていきます。
貸しギャラリーとは・・・ギャラリーの種類はこちらで解説しています
個展をやる決意をする(開催する1年以上前)
まず個展をやるんだと決心します。
・展示したときのイメージを考える
展示したときの構成、作品点数や展示テーマをメモしておく。
候補となるギャラリーの下見(1年~半年前)
大体貸しギャラリーを1週間借りるとレンタル料10万円から20万円の間くらいです。
10万円以下のところもあれば20万円以上のところもあり、
予算によってある程度候補を絞っていきます。
レンタル料高い・・・お客さんが来やすい立地、スタッフが常駐して接客や会計を代行してくれる、広報代行してくれるなどメリットがある
レンタル料安い・・・わかりにくい場所、自分で在廊、接客や会計は自分で、広報も自分で行う、など自分でやる仕事が多い
関連記事:ギャラリーの探し方
会場の候補をある程度絞ったら・・・
・展示したいギャラリーに足を運んでみる。
・オーナーがいたら決める前に話をしておく。
作風の相性があっているか、どのようなお客様が来るか?
ほかの展示をする作家さんの作風や年代など。
この時自分の作品なら何点並ぶのか概算を見積もっておきます。
この『何点作品を用意すればいいか』からストック作品のほかに何点制作するかを割り出し、画材も用意しておきましょう。
展示会場を決める(1年~半年前)
規約や展示スペース、立地などを検討したのち、開催する会場を決定します。
人気のギャラリーは一年前から予約が埋まり始めますので
それより前に目星をある程度つけておきます。
会場を借りる契約書類などを書いたり資料を提出したりします。
レンタル料の何割かを前金として払う場合もあります。
個展の内容を決める(~3か月前)
・個展タイトル
・メインビジュアル
・コンセプトなど
展示の内容を決めていきます。
メインビジュアルを描き下ろす場合は最低3か月前に準備できるよう前もって制作しておきます。
DMに採用するメインビジュアルの選び方
最初の個展をより良くするためにもっと詳しく解説するならば・・・
(開催2回目以降でも構いません、少しづつより良く改善していくことが大切です)
メインビジュアルはあなたの個展の顔ともいうべきものです
わざわざ足を運びたくなるような魅力ある作品画像が必要です。
思わずDMを手に取ってもらい、
「この展覧会を見に行きたい!」
「もっとほかの作品を見てみたい」と思ってもらえるような作品を、
よく吟味して掲載するようにします。
経験上DMに掲載する作品はメインの作品1点が多いのですが
掲載する作品画像は、2~3枚程度というのも選択肢の一つです。
巨匠の名画展であれば、代表的な1作品が掲載されているだけで十分なアピールになりますが、
初めての個展ではなかなかそうもいきません。
メインビジュアルに選ぶ作品のポイント
・足を運んでもらうための魅力ある作品か?
・飾りやすいサイズの作品か?
・モノクロでも映える作品か?
・展覧会のテーマに沿っている作品か?
詳しくはこちらの記事で解説しています
DM作成(~3か月前)
展覧会DM(案内状)を作成していきます。
この時、開催3か月前には手元にDMがあるのが理想です。
なので実際はもっと前から準備していくことになります。
この時点ではメインビジュアルや個展タイトルが決まっていると思いますので
DMのデザインや印刷をどうするか考えていきます。
印刷枚数を算出
DM刷る枚数の目安
・知り合いのみに配布-100枚
・会場となるギャラリーに納品・設置-300枚~
・近隣のギャラリー、大学、画材屋などに設置-500枚~
・設置する場所が20か所を超えるなら-1000枚~
ちなみに私は
60か所設置×各25枚=1500枚
個人宛-100枚
会場となるギャラリー-200枚
+αで合計2000枚ほど刷ります。
足りなくなるより余ったほうがましなので多めに刷っておきます。
DM配布(1か月前)
設置したい場所は1か月前から
個人宛は2週間前から配り始めます。
設置場所への送付は20~40枚が目安です。
人が多く来る場所なら少し多めにといったところ。
・ギャラリー・美術館
・画材屋
・知り合い
・なじみの店
・出版社
・テレビ局
など
ほか常にDMを持っておいて出会った人などに配ります。
ほか作成するもの
・ポートフォリオ
関連記事:画家活動するために必要なポートフォリオの作り方
・名刺
個展1週間前
・設営の道具チェック
釘/カナヅチ/インパクトドライバー/ひっつきむし/マスキングテープ/梱包テープなど
設営に必要な道具を揃える
・ステートメント/キャプションパネルなど作成
プロフィールやステートメント、メイキング解説などのパネル
作品ごとのキャプション作成
関連記事:作品キャプションの作り方
・作品梱包
全部の作品や道具が入る段ボールを確保しておく
大きい作品の場合は搬入出用のトラックや運送会社手配
個展前日~当日
前日:搬入-設営
当日:在廊
・作品に触れる/高圧的なお客様に注意
・会場の展示風景・作品の写真を記録用に撮っておく
・SNSで展示の様子を発信
・できれば来場者数をカウント
・気づいた事、お客様と話した内容をメモっておく
最終日-搬出
時間厳守なことが多いので閉店まで間に合うよう撤収&梱包する
発送はギャラリーがやってくれることが多い、が念のため確認しておこう。
個展終了後
・売り上げが振り込まれた事を確認(1か月くらいかかる)
・展示の記録(SNSで発信する)
・収支計算し大体の赤字・黒字を把握しておく
関連記事:個展が終わったらやること
個展の種類
今回は自分で場所代を払って会場を選ぶというやり方を紹介しましたが、
個展には今回紹介した自主企画(レンタル)と企画個展があり、
ある程度作品が売れるようになるorオーナー好みの作風や仲良くなるとギャラリーから個展のオファーが来ることがあります。
その場合は場所代をこちらが払うのではなく売り上げから半分を手数料としてギャラリーに払います(企画個展)。
一見半分も取られるの!?と思うかもしれませんが、
自分の代わりにお客様へ宣伝してくれたり、接客のプロが対応してくれたり
お客様へ売れた作品の梱包・発送を代行してくれたり、手数料分販売する努力をしてくれます。
なので理想は両方の形式を経験したほうがいいです。
だれでも企画個展が出来るわけではないからこそ作家として活動していくなら
ゆくゆくはそれを目指していきたいものです。
おまけ
10回以上個展を開催してきた活動の記録として安藤光の個展歴を分かる限り記載しておきます。
安藤光の個展歴
2012~以降年1開催 吉祥寺 企画個展
2011年公募展で入選して銀座のギャラリーで展示された際、たまたま訪れたオーナーの目に留まり企画人生初の個展が実現。当時フリーターで絵も売れなかったので、上京するお金も在廊時の宿泊するお金もなく、ギャラリーの床で寝泊まりすることを快諾いただく。以降年に1回企画個展していただけるようになる。
2014 銀座 企画個展
2013年に公募展で受賞し特典の1つとして企画個展開催権を獲得。はじめて雑誌に広告を掲載される。
まだまだ個展経験も少なく無名だったので広告を掲載していただいたのにも関わらず、集客も思うようにいかず、当然絵も大して売れず、銀座での個展という大舞台を用意してもらったのにチャンスを逃したな~と思った個展でした。
2021 神楽坂 自主企画
3日間の開催。これまでの活動の繋がりで神楽坂の店舗を経営する社長のご厚意で店舗を貸していただけることになる。場所代0手数料0で個展が実現。在廊時の宿泊は上階のシェアハウスの一室を無料で貸してもらう。店舗の商品を片付けと原状回復の作業があり、作品はすべて棚置き設置と通常のギャラリーとは勝手が違ったが配送や決済などすべてを自分で準備する良い経験になった。
2022 神楽坂 自主企画
2021年と同会場同条件で初めてのテーマを設定した個展。タイトルからコンセプトなどを初めて設定した。が集客が上手くいかず3日間で10人ほどの来場者数だった。社長含む関係者が次々と作品購入し2人に1点の割合で売約が決まる。
2024 大阪 企画個展
初めてのレストランで期間1か月の個展が決まる。普段のDMの代わりにコースターを配布。
店頭販売している焼き菓子のラベルに作品を採用してもらう。
遠方のため在廊は出来なかったが大阪で自分を知らないお客様に知ってもらう良い機会になった。
吉祥寺の個展は2012年から現在2024年に至るまで毎年1回企画で開催させてもらっています。
このように企画個展も賞の特典やオーナーの目にとまって開催が実現したりもします。
これまでの展示歴の詳細はこちら
おわりに
展示初心者向け個展の開き方や種類について解説しました。
結構場所代以外にも道具や画材、DM配布時の切手代、送料、交通費など細々と出費がありますね
準備するものも作品だけではなくキャプションやポートフォリオ・名刺などたくさんあります。
実際は準備が進まずぎりぎりになったりします。
しっかり準備するためにも余裕を持って行動したいですね。
これを見てるあなたの個展が成功するための一助になれば幸いです。
ではまた!