こんにちは ペン画家の安藤です。
今回は
「どの色を選んだらいいかわからない。」
「油彩額とデッサン額の違いって?」
など額についての疑問をよく耳にするので、
私の知る限りですが
額の選び方や種類について、
解説していきたいと思います。
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額の種類
額にはいくつか種類があり
賞状、手ぬぐい、ユニホーム、書道額、写真額、などがありますが
大きく分けると
薄い紙(水彩やドローイング)や
厚みのあるパネル(油画、アクリル画など)
を収める額の2種類です
ここではその2種類の額について解説していきます。
・デッサン額
一般額とも言い
厚さが3mm程度までの紙やボード、写真、布など比較的薄いものを入れます。
デザインやサイズ展開の豊富さは随一で、
額縁に入れたいと思うほとんどの品物に対応できます。
基本的には額と作品の間に「マット紙」を入れます。
F4の紙に描いたからといってF4の額には入れません。
これは
せっかく額に入れたのに絵が窮屈に見えてきてしまうからです。
マット紙は作品と額に余白を作り作品自体を際立たせたり、
アクリル板に直接作品が接触しないようにする
作品を保護する役割があります。
なぜ直接接触しないようにというと
アクリル樹脂には同化作用があり
接触しているアクリル同士が一つになろうとする性質があります。
作品にアクリル成分の絵の具やインク、ニスなどが使われていると
年月が経つうちにアクリル板とくっついてしまうのを避けるためでもあります。
ほかにもマットには吸湿の役割もあります
仮にマット紙がなく結露が発生した場合に作品自体が吸収することになります。
そうすると作品とアクリルパネルの癒着やカビの発生原因となります。
写真額もマットを入れますが
あれは写真とガラス板が接触していると剥がれなくなるので
間を空けるためにマット紙を入れます。
ほんの数ミリの空間ですが作品の保護のためにも重要なんです。
・油彩額
厚みのある平面状の品物、油絵や日本画など
主にキャンバスや木製パネルが入る額縁です。
油彩額は絵画規格サイズ(号規格)で作られています。
近しいサイズを工夫して使うことができないため、
規格サイズ外の作品には特注サイズの額縁が必要です。
またメーカーによってパネルの厚みも違うので入る厚みも確認しましょう。
このほかにも
キャンバス作品を入れる額ですが、油彩額とは異なり、
表のガラス面、裏板などがなく、
キャンバスの周囲を覆う枠のみの、仮額縁もあります。
主に公募展や卒展など展示のみの場合に使います。
額縁の選び方
額縁を選ぶ際は、
「作品と額縁」という内部要因と、
「額縁とお部屋」という外部要因の2つの視点から、
額縁のデザインや色を検討します。
これは、「額縁を掛ける場所」を意識せずに、額縁を選んでしまった場合に、よく起こり得る失敗です。
額縁のフレームやマット選びに夢中になると、ついつい掛ける場所のことを忘れてしまいがちです。
額縁は、中身の作品を引き立てる役割のほかに、
「作品とお部屋を繋ぐ役割」を果たしていることも考慮しましょう。
よく黒っぽい絵に黒い額やマットを選ぶ人がいますが
一般家庭のさわやかで明るい壁紙(白・クリーム・木目調等)を想定すると
部屋の壁に掛けると暗くて重たい印象です。作品の趣旨に沿っているならそれでも構いませんが
一般的に(販売や譲渡して)部屋に飾るのを想定するなら木製や金、銀、白など無難なものをお勧めします。
もちろん黒も絵の内容によっては強く印象付け作品を引き立たせるのに役立ちます。
額の色ですが
基本的に
金=暖色系の作品
銀=寒色系の作品
フレームの色=作品の中で一番多く使われている色
が典型的な選び方です。
装飾が付いた金の額縁は華やかな印象になるので高級感が出ます。
※これが絶対というわけではありません。
迷ったら額縁屋さんに依頼するのも一つですが
経験のため自分で選んで額装するのをオススメしておきます。
マット紙の選び方
・マット幅
作品サイズによりますが25~80ミリのマット幅が理想です
窮屈な仕上がりにならないよう、
マット幅は25~80ミリを目指します。
片側で25~80ミリなので、必要な額縁サイズは、
窓抜寸法よりも50~160ミリ大きいことになります。
仕上がり全体の大きさに合わせて、
徐々にマット幅も広めにとると良いでしょう。
一般額のサイズ展開はとても豊富ですが、
上下左右のマット幅がぴったり揃うことはまれ。
基本は均等なマット幅を目指しますが、
10~15ミリほどのずれは許容しつつ、
額縁サイズを選択しましょう。
・長手方向が広くなる分にはOK!
長手方向のマット幅が広くなると、
バランスが良く安定した仕上がりになります。
長手のマット幅が広い場合は、
むしろ好ましいサイズだと捉えましょう。
逆に短手方向のマット幅が広い場合、
寸詰まりに見えるので注意が必要です。
特に細長い額縁の場合は、
長手のマット幅を広く確保するのがコツです。
・油彩額には「ライナー」
私は使ったことがありませんが
油彩額にはライナーというものがあります
たいていは額とセットになっています。
これもマット紙と同じ役割をします。
もし作品と額の組み合わせ次第で窮屈に感じたり、
アクリル板との接触が気になる場合は検討してみてください。
額縁、マット紙迷ったらコレ!
もし額やマット紙の色に迷ったら
マット紙は無彩色(白、グレー、黒)
額は木目調、白、金、銀など幅が狭い額
をオススメします。
先に解説した
「部屋に飾るのを想定して」という理由のほか
上記の組み合わせは大体の作品に合う汎用性があります。
その反面、個性、インパクトに欠ける欠点がありますが・・・
万が一個展やグループ展で何年も売れ残った場合、
汎用性が高いゆえに、
中身を別作品に入れ替えた際に
マッチしやすいメリットがあります。
※マット紙に作品が固定されてる場合はマット紙からはがすより
新しくマット紙を注文したほうが失敗は少なくて済みます。
オススメ額縁通販サイト
私が使ってるオススメ額縁通販サイトを紹介します
■マルニ額縁画材店
■額のまつえだ
額縁 – 激安通販 | 額のまつえだ / 油彩・水彩・デッサン額専門店
■額縁のタカハシ
ほかにも探すと通販サイトはたくさんあります。
自分で選んだ額やマット紙に入った作品というのは
さらに愛着がわきますよ。
額縁屋さんに額装を頼むのもよいですが、
自分で選んでみるのも経験の一つです。
ぜひ挑戦してみてくださいね。