考えないことも創造力になる【ペン画家|安藤光の制作テーマ】

こんにちは。ペン画を描いて画家活動をしています。
安藤光と申します。

今回は私の制作主題と制作中のスタンスである
「考えないこと」は創造の力になるのかを考えていきます。

安藤光のプロフィールはこちら

関連記事:ペン画家・安藤光の制作と思考について

考えないことが創造の鍵

「考えない」とはどういうことか?

私たちは日々、膨大な情報や思考にさらされながら生きています。頭の中は常にフル稼働で、あれこれと考え続けるのが現代人の常。しかし、創造性においては「考えすぎること」がむしろ足枷になる場合があります。

ここでいう「考えない」とは、何もしていない状態、いわゆる“ぼーっとする”ことではありません。むしろ「無意識に任せる」「自動的に手を動かす」といった、“意図的に意識を外す”行為です。この状態が、思いがけない創造の突破口になることがあります。

創造力は論理よりも無意識から生まれる

「何か新しいものを生み出したい」と思ったとき、
私たちはつい論理的に考えてしまいがちです。
しかし、論理的思考には過去の情報が色濃く反映されているため、
どうしても既存の枠組みの中で考えることになります。

それに対して無意識は、過去や論理から解放された領域です。
感覚、記憶の断片、感情、夢……
そういった曖昧な素材が脈絡なく結びつくことで、
既存の枠にとらわれないアイデアが生まれるのです。

自動筆記とオートマティズム

シュルレアリスムの芸術家たちは、
この「考えない創造力」に注目し、
意図的に意識を外して描く「自動筆記(オートマティズム)」という手法を実践しました。
たとえば、画家アンドレ・マッソンは、
無意識のまま手を動かして線を引き続け、そこから何かを見出して作品を構成していました。

このように、考えずに手を動かすことで、
意図や意味を超えた何かが現れてくる

それはまさに「創造力が降りてくる」瞬間でもあります。

散歩や単純作業がアイデアを生む理由

創造的なアイデアが「シャワー中」や「散歩中」「寝る直前」に突然ひらめいた経験はないでしょうか?これも、脳がリラックス状態にあることで、無意識の情報処理が表に出てくるからです。

特に「散歩」は、考えることを一時的に止めるのに最適です。歩くリズムは一定で、風景は流れ、思考は次第にぼんやりとしていきます。そうした状態で脳は“デフォルト・モード・ネットワーク”と呼ばれる領域を活性化させ、創造的なひらめきを生み出しやすくなるのです。

「考えない」状態をどうつくるか?

では、どうすればこの「考えない状態」を意識的に作れるのでしょうか?いくつかの具体的な方法を紹介します。

1. ルーティン化した単純作業を取り入れる

洗い物、掃除、編み物、ウォーキングなど、
手や体を動かしながら脳をフリーにできる作業を意識的に取り入れましょう。

大切なのは「考え込まなくてもできる作業」を選ぶことです。

2. 手を動かしてみる

紙に何かを描いてみる、
意味のない線を延々と引いてみる、
言葉を連ねてみる。
目的を持たず、評価せず、とにかく「動かす」こと。

これが無意識の声を聞く準備になります。

3. インプットを一時的に止める

スマホやSNS、本やニュースなど、
外からの情報を一度シャットアウトしてみましょう。

情報が多すぎると、脳が常に処理し続けてしまいます。

静かな時間が、無意識の働きを促します。

4. 「散歩」を習慣にする

アイデアに煮詰まったら、とにかく外に出て歩きましょう。

目的地を決めずに歩くのが理想。

視界に入るものが自然や街並みであることが、
視覚的な刺激としても創造性を促してくれます。

「思考」と「感覚」のバランスをとる

もちろん、考えること自体が悪いわけではありません。

創造的なプロセスにおいては「考える段階」と「考えない段階」の両方が必要です。

考えずに出てきた断片を、論理や技術で整理・構築する段階があるからこそ、
作品として成立します。

ただし、その順番が逆になると、
「既存の枠に収まっただけの作品」になりやすいのです。

まずは考えない。そこから何が現れてくるかを観察する。

そして最後に、意識を戻して整理する。このサイクルが、真に自由な創造につながります。

「空(くう)」から何かが立ち上がるという逆説

仏教の「空(くう)」という概念にも、創造性と通じる側面があります。

何も満たされていない空の器こそ、
何かを受け取ることができる——それは創作にも言えることです。

創造において、「何かを生み出そう」「良いものをつくろう」と思えば思うほど、
かえって枠に縛られます。

真に新しいものは、「空っぽの自分」に降りてくるのです。

そのためには、意識的に
「何も持たない」「考えない」「判断しない」状態を受け入れることが鍵となります。

そこから自然に現れてくる何かを、否定せず受け止めてみてください。

まとめ:考えないことが、最大の創造性を引き出す

創造力を高めたいなら、知識を詰め込むよりも、まずは“考えすぎる癖”を手放してみてください。意識的に「考えない時間」を作ることで、脳の奥に沈んでいた感覚や記憶が浮上し、思いがけないアイデアへとつながるはずです。

創造とは、意識と無意識、理性と感性のダンスです。

そしてその第一歩は、「考えない」ことから始まるのです。

そんな私も関東を中心にペンで描いた細密画作品を販売しております。
ご都合よろしければ足を運んでいただけると嬉しいです。