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絵を描いている人なら、一度は悩んだことがあるのではないでしょうか?
「絵を売るために描いているのか? それとも純粋に芸術を探求しているのか?」
この問いは、単なる自己分析ではなく、作家として活動を続けていくための本質的なテーマでもあります。
私はこの質問に対して、こう答えたいと思います。
「絵を売ること」と「芸術を探求すること」は、両立できる。むしろ、両立させることが大切です。
この記事では、「売れる絵とは何か?」という本質に迫りながら、アーティストが活動を続けていくための現実的な視点をお伝えします。
お金に関わることから、無意識に逃げていませんか?
「お金のことを考えるのはダサい」
「売れるために描くのは本物じゃない」
そういった考えを持つ方に出会うことがあります。
そして、多くの作家が「売ること」への苦手意識や抵抗感を抱えています。
でも、それって本当に“芸術家らしい姿勢”なのでしょうか?
もちろん、表現の純粋さを守ることは大切です。
しかし、お金を得ることを避けたり、売れることをどこかで「汚いこと」のように感じているならば、それは単なる思い込みや、経済活動への漠然とした不安が原因かもしれません。
本当に描きたいものを描きながら、それが他者に受け入れられ、対価としてお金を受け取る。それは、表現者としての誇りを持っていい行為なのです。
「売り絵」は売れない?その理由
「売れる絵を描かなきゃ」と思って、商業的にウケそうな絵を量産する。
いわゆる「売り絵」と呼ばれるスタイルです。
ところが実際には、そういった“売るためだけに描いた絵”は、驚くほど売れません。
もちろん、マーケットを意識した戦略や、量産での薄利多売というスタイルを否定するわけではありません。それが自分に合っていて、うまく継続できるのであれば、それも立派なひとつの形です。
でも、そうしたスタイルに安易に乗っかってしまうと、自分の表現の軸がブレ始め、結果として心から納得できる作品が描けなくなってしまう。そうなると、長く活動を続けていくのが難しくなるのです。
売り絵についてはこちらで解説しています↓
【画家で生きていく】売り絵と売れる絵の違いとは
売れる絵とは

作家活動を続けていくうえで、理想はやはり「高額でも売れる絵」を描けるようになることです。
ここでいう「売れる絵」とは、単なる商業的な売り絵ではなく、
作家の思想や感性、探究のプロセスが詰まった“純度の高い作品”でありながら、
それが他者にも魅力として届く絵のことを指します。
つまり、「売れる絵」とは「芸術を探求した結果として生まれた、力のある作品」です。
このような作品は、テーマやモチーフが何であれ、
たとえ作家が在廊していなくても、ちゃんと売れる。
価格が安くなくても、「この作品がほしい」と思わせるだけの力があるのです。
【絵を売るには】まず「自分にしか描けないもの」を掘り下げよう

絵を売るために必要なのは、技術でもマーケティングでもありません。
まずは、「自分にしか描けない世界」を見つけることです。
なぜ自分はこのテーマを描くのか?
どうしてこの表現手法を選ぶのか?
誰に届けたいのか?
こういった問いを自分に投げかけ、時間をかけて掘り下げていくことで、他の誰にも真似できない作品が生まれます。
そしてその“本気で取り組んだ作品”こそが、高額でも売れる絵になるのです。
純粋な探求が、結果として売れる理由
私自身、これまでの活動を通して気づいたのは、
芸術的な探究を本気で行った作品ほど、
結果的に売れるということでした。
時間をかけて深く掘り下げ、自分なりの視点や思想、
そして挑戦が込められた作品は、やはり見る人の心を動かします。
逆に、「とりあえず売れそうなもの」を意識して描いたものは、
どうしても“浅さ”が出てしまう。感情が乗っていない、思考が詰めきれていない、何かが足りない。
そんな作品は、どこか表面的に見えてしまうのです。
「芸術性」と「ビジネス」を分けすぎないことが鍵

絵を仕事にしたいと思ったとき、「売ること」と「作ること」を完全に切り分けてしまう人が多いです。ですが、今の時代、アートは“伝える力”と“届ける力”がセットで必要です。
・SNSで制作過程を発信する
・展示やイベントでのコミュニケーションを大切にする
・価格設定や販売導線を戦略的に設計する
これらはすべて、「作品を届けるための努力」であり、「売るための媚び」ではありません。
まとめ|絵を売ることも、芸術を探求することも、どちらも大切
最後にもう一度、大切なことをお伝えします。
絵を売ることと、芸術を探求することは矛盾しない。むしろ両立してこそ、作家としての本質が輝く。
・自分の表現に真剣に向き合う
・その作品を社会に繋げ、価値として届ける
この2つをバランス良く続けていくことが、長く作家として生きていく鍵になります。
「売れる絵を描く」ことを恐れず、堂々と、「自分の表現が人に届くこと」を喜びに変えていきましょう。