画家になるためにデッサンは必要?目的別に考える

こんにちは、ペン画家の安藤光です。

今回は、「画家になるにはデッサンが必要ですか?」
という多くの方が抱く疑問について、
目的や表現スタイル別に深掘りしながら解説していきます。

結論を先に言えば、
デッサンは必須ではないが、強力な武器になるものです。

ですがその価値は、目指す表現や活動内容によって大きく異なります。

このブログでは、以下のような観点で「デッサンの必要性」を見ていきます。

  • デッサンとは何か?
  • なぜ画家にとって「必要」と言われるのか
  • どんなタイプの作家には必要?不要?
  • 実際のプロ作家たちはどう考えているか
  • デッサン力が足りない場合の補い方
  • 独学者へのアドバイス

あなたの活動目的に合わせて、必要な学びを選び取る手助けになれば幸いです。

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デッサンとは?ただの模写じゃない

  • 形を正確に捉える観察力
  • 明暗や質感を表現する技術
  • 空間構成や比率の理解

これらすべてを鍛えるトレーニングがデッサンなのです。

美術系の学校や基礎美術教育で重視されるのは、「手の技術」以上に、見て、考えて、再構築する能力が重要とされているからです。

画家にとって、なぜデッサンが必要だと言われるのか?

理由1:構図力・観察力の土台になる

絵を描くとは、目の前にある情報を「自分なりに再構成する」作業です。そのため、形の取り方や奥行き、光と影の理解などを把握しておくことで、表現の自由度が圧倒的に上がります。

理由2:他ジャンルにも応用が利く

油絵、水彩、日本画、イラスト、マンガ、デザイン──どんなジャンルでも、デッサンの訓練が活きてきます。とくに商業的な分野では、「描ける」ことが前提になっていることも。

理由3:「描ける人」は信頼されやすい

ギャラリー、審査員、バイヤーから見ると、
技術的に安定している=信頼できるという評価にもつながりやすいのです。

でも「必須ではない」理由もある

ここまで聞くと、「じゃあやらなきゃダメなの?」と感じるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。

理由1:現代アートは「考え方」で勝負できる

特に抽象画やコンセプチュアルアートでは、「何を描いたか」よりも「なぜそれを描くのか」という意図や背景が重視されます。

たとえば、アウトサイダーアート、アール・ブリュット、シュルレアリスムの一部作家は、訓練とは無縁でも高く評価されています。

理由2:表現の個性は「不完全さ」から生まれる

線の歪み、形の崩れ、偶然性──そうした「描けなさ」こそが、作家のオリジナリティになる場合もあります。

あなたの作風が、写実や整合性を必要としないなら、デッサンを優先する意味は薄いかもしれません。

私も義務教育以降美術には触れてきませんでした。
それでも画家活動16年描き続けていますし百貨店で絵も安くない値段で何とか売れています。
結局はやる気と行動だと思います。
ただデッサンを学んでいるとできる幅は広がると感じています。

目的別にみる「デッサンの必要度」

目的デッサンの必要度備考
美大・芸大入試◎必須入試科目に含まれることが多い
写実画・肖像画◎必須観察力と形の把握が命
抽象・コンセプチュアルアート△任意必要に応じて補助的に
ペン画・細密画◯推奨構図や質感を描く力は役立つ
イラスト・商業絵◎必須求められる技術の最低ライン
独学で自由に表現したい△任意自分に合えばやるくらいでOK

デッサンをやるか迷っている人へ:チェックリスト

  • 「描きたいものは明確だけど、うまく形にできない」→ やるべき
  • 「自分の作品に説得力を持たせたい」→ やるべき
  • 「美大を目指している」→ 絶対やるべき
  • 「自由に描いていきたい」→一度やってみて、合わなければ離れてOK

デッサンを独学でやるにはどうしたらいい?

モチーフを用意する

  • 石膏像
  • 野菜・果物
  • 手・顔・自分の足 など

②必要な道具

  • 鉛筆(2H〜6B)
  • 消しゴム・練りゴム
  • 木炭 or コンテ
  • 画用紙 or スケッチブック
  • 固定具(クリップなど)

③取り組み方

  • 毎日10分でも「見る→描く」を繰り返す
  • 光源を1つに決めて明暗を意識
  • 複雑なものではなく、単純な形から始める
  • SNSやポートフォリオで“記録”しておく

独学者は「完成」を目指さず、観察→修正→反省→再挑戦の繰り返しが重要です。

「描けない」ことの苦しさとどう付き合うか

デッサンをやっていると、必ず自分の下手さに向き合う時期がきます。

でもその時間こそが、描く力だけでなく“観る力”を育てている証拠です。

  • 目が肥えてきた=成長の証
  • 手が追いつかない=訓練で解決できる

描けないことに絶望せず、それを乗り越えたときの「変化」に注目してみてください。

あなたにとって「描く」とは何か?

最後に大切な問いを投げかけたいと思います。

あなたは何のために描いていますか?

「上手く描きたい」のか、「伝えたい何かがある」のか、「ただ線を引いていたい」のか。

答えによって、デッサンの必要性はまったく変わってきます。

大事なのは、「上手くなりたい」という欲求と、「自分らしく描きたい」という欲求を、どうバランスさせるかです。

まとめ:デッサンは選べる武器。必要なら持てばいい

  • デッサンは表現の基礎体力。だけど、すべての画家にとって必須ではない
  • 自分が目指す表現の方向性に応じて、「持つか持たないか」を選べばよい
  • 描けるけど描かない人と、描けないから描かない人では、説得力に差が出る
  • 一度は試して、自分との相性を見極めてほしい

自分に合う方法で、自分に合う表現を。

あなたの画家人生にとって、最適な「学び」の形を見つけられますように。