今回は10年以上活動続けてきた私が
画家を目指すようになったきっかけをお話ししていきたいと思います。
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画家を目指したきっかけ
就きたい仕事も特になく・・・
私は現在、都内を中心に画家として活動していますが、もともと特別な美術教育を受けていたわけではありません。美術大学出身でもなければ、学生時代にコンクールで賞を取った経験があるわけでもありません。
むしろ、絵を描くことは好きだったけれど、プロになろうなんて思ったことすらなかったタイプの人間です。高校時代、美術部に入っていたわけでもなく、趣味としても特に追求していませんでした。
社会に出た頃、私にはやりたい仕事も特になく、ただ生活のためにアルバイトをこなす毎日でした。20代半ばになってもなお、自分の将来像が見えず、目的もなく過ぎていく時間に焦燥感だけが積もっていきました。
学生時代に何度となく言われた「絵では食べていけない」という言葉は、いつしか自分の中にも根を張っていました。その言葉通りに、私は絵をあきらめ、現実に折り合いをつけて生きていたのです。
後悔をしないために
そんな私の人生を大きく変えたのは、10年以上の付き合いがあった親友の死でした。突然の事故で亡くなったその友人の人生は、あまりにもあっけないものでした。
彼の死をきっかけに、「人はいつ死ぬかわからない」という当たり前すぎる現実を、初めて本当の意味で理解しました。そして、自分がこのまま“やりたくない仕事をなんとなく続けて、やりたいこともやらずに死んだら、一体何が残るのか？”という問いが胸の中で燃え上がったのです。
ちょうどその頃、趣味の延長で描いた絵をSNSや展示会で発表する機会がありました。すると、思いのほか多くの人から反応があり、「もっと見てみたい」「次はいつ展示するの？」という言葉をいただきました。
その反応が嬉しくて、次第に「やっぱり絵を描くことが好きなんだ」と再認識するようになりました。
さらに決定的だったのは、アルバイト先の上司から何気なく言われた一言でした。
「好きなことに思い切って取り組めば、とんとん拍子で物事が進むこともあるよ」
この言葉が、心に突き刺さりました。現状を変えるには、まず自分が変わらなければならない。私は思い切ってアルバイトを辞め、人生をかけて“画家として生きる”という決断をしました。
なぜ絵を描き始めたのか
私にとって、絵を描くという行為は「作業」です。
これは決してネガティブな意味ではなく、無心で手を動かすことによって、
自分自身と向き合う時間だということです。
思い返せば、物心ついた頃から私は「何かを書く」「描く」という行為が好きでした。大学ノートに延々とひらがなを書き続けたり、同じ形（たとえば三角形）を何百個も描いて画面を埋め尽くしたりしていました。
中学時代の美術の授業を最後に、長い間絵から離れていましたが、大人になってふとその原風景が蘇ってきました。
「子どもの頃にやっていたことを、今もう一度真剣にやってみたらどうなるだろう？」
そう思い立ち、社会人として疲れ切った日々の中で、再び絵筆を手に取りました。
仕事でクタクタになって帰ってきても、絵を描く時間だけは「今」という現実から解放され、無の境地に近い状態になれる。これは、もはや私にとってオリジナルの写経のようなものでした。
画家活動の展望
現在は、会社員として働きながら、毎日制作を続けています。
年に2回、都内で企画個展を開催し、それ以外にもグループ展や公募展、地元での同人誌即売会など、月1ペースで作品を発表する場を持っています。
画家としてのキャリアはまだまだ発展途上です。今後の目標としては、より多くの人に作品を届けるために、アートフェアへの出展や、地方・海外での展示、美術館での個展開催など、これまで実現していない挑戦に取り組んでいきたいと考えています。
また、作品の質をより高めるために、画材の研究や制作技法の追求にも力を入れていく予定です。
最後に：誰でも「始めること」はできる
「絵じゃ食べていけない」——たしかに、それは正しい側面もあるでしょう。でも、それは「描く前からあきらめている人の言葉」でもあります。
私は、特別な才能もなければ、コネも資金もないところからスタートしました。それでも、自分の「描きたい」という想いに正直になったことで、少しずつ道が拓けてきたように感じています。
もし、この記事を読んでくださっているあなたが、「本当はやりたいけれど無理だ」と何かをあきらめかけているのなら、まずは“無理じゃないかもしれない”という可能性に目を向けてみてください。
始めるのに遅すぎるなんてことはないのですから。
