~創作初心者のための心が軽くなるヒント~
「なんであの人はあんなに上手いの?」
「私の絵、全然だめだ…」
そんなふうに、絵を描いていると“嫉妬”や“比較”の気持ちに苦しむことってありますよね。
この記事では、
初心者の方にもわかりやすく、
嫉妬や比較の感情とどう向き合えばいいかを丁寧に解説します。
心がちょっと軽くなるヒントを、ぜひ持ち帰ってください。
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嫉妬や比較の気持ちは「普通」です
まず安心してください。
嫉妬するのはおかしいことでも、恥ずかしいことでもありません。
人と比べて落ち込んだり、
「私なんて」と思ったりするのは、
誰でも経験することです。
特に絵は「見られるもの」なので、人の目を気にしたり、
評価を意識したりするのは自然なこと。
自分が絵に真剣だからこそ、比べてしまうのです。
嫉妬の感情を感じたとき、まずやるべきことは「なぜ苦しいのか」を言語化することです。
「あの人は大きな会場で展示している」→自分も広い会場で作品を見せたい欲望がある
「同年代なのにもう画集を出している」→自分も出版を目標にしている
「自分より技術が高いように見える」→自分はまだその部分を磨けていないと感じている
このように、嫉妬は実は「自分の願望の裏返し」であることが多いのです。だからこそ、ただ苦しむのではなく「自分が本当に求めていることは何か」を見つめ直すきっかけに変えられます。
1. 絵の嫉妬が生まれる理由

1-1. SNSによる「見せ合い文化」
現代のアーティストは、SNSを通じて無数の作品を日常的に目にします。アルゴリズムは人気作を優先的に表示するため、上手い作品や評価されている人ばかりが流れてきます。その結果「比較のスパイラル」に陥りやすくなります。
1-2. 才能と努力の錯覚
他人の完成作品だけを見て「才能の差」と感じがちですが、実際には長い試行錯誤や練習の積み重ねが隠れています。背景を知らないまま比較することが、嫉妬の原因になります。
1-3. 自己評価の揺らぎ
創作は自分自身を投影する行為でもあります。そのため否定的な感情が作品評価に直結しやすく、「自分の存在まで否定されたように感じる」ことがあります。
2. 嫉妬や比較で苦しくなる時の心理
2-1. 認知バイアス
人は「他人の強み」と「自分の弱み」を比較する傾向があります。心理学ではこれを「上方比較」と呼び、モチベーションにつながる場合もあれば、劣等感に陥る原因にもなります。
2-2. 承認欲求の裏返し
嫉妬は「自分も認められたい」「もっと上達したい」という欲求の裏返しです。つまり嫉妬そのものは、向上心のサインでもあるのです。
2-3. 創作とアイデンティティの結びつき
「自分=作品」と考えすぎると、比較が自己否定に直結してしまいます。これが嫉妬の痛みを増幅させます。
3.苦しい時の対処法・考え方

①比較を「時間軸」で分解する
人と比べてしまうときに忘れがちなのは、「スタートラインも歩んできた道も全く違う」という事実です。
- 絵を始めた年齢
- 描き続けてきた時間
- 活動できる環境(都市か地方か、経済状況はどうか)
- 作品の方向性
これらはすべて異なります。にもかかわらず「同じ土俵」で比べると苦しくなるのは当然です。
そこで有効なのが「時間軸」で考える方法です。
たとえば「自分は5年目、相手は15年目」と意識すれば、「同じように評価されなくて当然。むしろ、まだ10年分の伸びしろがある」と捉えられるようになります。
②「うらやましい」を分析してみる
誰かの絵を見て「すごい…私もあんな風に描けたら」と思ったことはありませんか?
その気持ちは、あなたの中に「こうなりたい」という未来の芽があるから生まれています。
たとえば…
- あの人の構図がうまい → 自分も構図を勉強したい
- 色づかいが魅力的 → 自分の色選びにもっとこだわりたい
と分析してみると、学びの対象に変わり、感情に飲み込まれにくくなります。
③他人の成功を「観察」する姿勢に変える
嫉妬は「比較」から生まれますが、「観察」に変えると学びに変わります。
- その作家の展示はなぜ集客できているのか
- SNSでどんな発信をしているのか
- 作品のサイズや価格帯はどう設定されているのか
嫉妬の対象を「研究対象」として捉えることで、自分の活動に具体的なヒントを取り入れることができます。
ここで大切なのは「丸ごと真似をしない」ことです。他人のやり方をそのままコピーすると必ず違和感が出ます。観察の目的は「自分なりに応用できる要素」を拾い上げることにあります。
④比較で落ち込んだら「自分の過去」と比べてみよう

他人の作品と比べて落ち込んでしまうとき、
いちばん効果的なのが**「自分の過去」と比べること**です。
- 1ヶ月前より線が安定してきた
- 最初は顔が描けなかったのに、今は形になってる
- 色の塗り方が前より丁寧になってきた
他人との比較ではなく、自分の「変化」を見つける癖をつけると、創作がずっと楽になります。
⑤嫉妬のエネルギーを「作品」に変える
最後に一番大事なのは、嫉妬を制作に活かすことです。
嫉妬は本来「強いエネルギー」です。誰かを羨む気持ちは、「自分ももっとこうしたい」という情熱の裏返しです。
そのエネルギーを絵の線や色に込めてみると、
想像以上に力強い作品が生まれることがあります。
ある画家は「嫉妬を感じた日は、むしろ筆が進む」と言います。
それは感情をエネルギーとして変換できている証拠です。
⑥SNSを見るのがつらいなら「見るルール」を決める

初心者がいちばん嫉妬や比較に苦しみやすいのがSNSです。
上手い人の作品や「いいね」の数を見ると、どうしても自信をなくしてしまいます。
そんなときは、自分でルールを決めてみましょう。
- SNSは投稿だけして、あとは見ない
- 他人の投稿は「見る日」を決める
- 自分が苦しくなる人は一時的にミュート
心を守るために、「見ない選択」もOKです。あなたのペースが最優先です。
⑦自分の好きを信じる
他人と比べてしまう理由のひとつに、「評価の基準が他人にある」という点があります。
でも本当に大切なのは、自分の中に“好き”や“描きたい”があるかどうか。
他人のマネじゃない、
自分だけの線、
自分だけの世界。
それを探していくことが、嫉妬から自由になる一番の近道です。
⑧自分の気持ちを書き出してみよう

嫉妬の気持ちは、言葉にするだけでも軽くなります。
ノートやスマホのメモに、思っていることをそのまま書いてみましょう。
- なぜうらやましかったのか?
- 自分は本当は何を求めてるのか?
- どんな絵が描けるようになりたいのか?
「言葉にすること」は、自分との対話です。モヤモヤを見える形にすることで、自分がどうしたいのかが見えてきます。
まとめ:嫉妬は悪者じゃない。あなたの味方にできる
嫉妬や比較で苦しいとき、それは「自分の中にまだ眠っている願望に気づいた証拠」です。
- 嫉妬を否定せず受け止める
- 行動に変換する
- 他人ではなく自分の物差しで進む
- 嫉妬を作品の燃料にする
これらを繰り返すことで、嫉妬はただの毒ではなく、自分を成長させる力へと変わっていきます。
「なぜあの人ばかり」と思った瞬間こそ、
自分が次の段階に進む準備ができた合図です。
そのサインを見逃さず、描くことを続けていきましょう。