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「抽象画って、結局なにが描かれてるの?」
「なんか、子どもが描いたみたい」
「わからないから面白くない」
抽象画に対するこんな声、少なくありません。
でも本当に“わからないもの”なのでしょうか?
それとも、“わかる”という概念そのものを問い直してくる存在なのか。
この記事では、抽象画の歴史や意味、鑑賞の方法、
そして「わからなさ」の価値について、
わかりやすく・そして少しだけ深く掘り下げていきます。
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なぜ抽象画は「わからない」のか?

私たちは日常的に「意味」を読み解く訓練を受けています。
たとえばリンゴの絵があれば、それは「リンゴ」と認識し、
「おいしそう」「秋かな?」と情報をつなげます。
でも抽象画には、それがない。
形は曖昧、色は意図不明、構図も自由。
「記号として読む」ことができないため、脳が混乱します。
つまり抽象画とは、「意味」ではなく
「感覚」に直接訴えるアートなのです。
音楽や詩のように、理屈よりも先に感情に届く芸術。
抽象画の起源:感情を視覚化した最初の試み
抽象画は20世紀初頭に誕生しました。
カンディンスキーは「内面の響き」を色と形で表現し、
モンドリアンは線と面と色による調和を追求しました。
彼らは“見えるもの”ではなく、“感じるもの”を描こうとしたのです。
その背景には、写真技術の進化や、
現代社会に対する哲学的な問いかけがありました。
つまり抽象画は、ただの落書きではなく、
「視覚の限界を超えようとした芸術の実験」でもあるのです。
抽象画の見方:意味を捨てて、感覚で見る
抽象画を見るとき、まず「これは何を意味しているのか?」と考えがちですが、
それをいったん脇に置きましょう。
代わりに、
「色がどう感じられるか」
「どこに視線が向かうか」
「自分の感情がどう動くか」に意識を向けてみてください。
たとえば、真っ赤な画面を見て「怒り」を感じる人もいれば、
「情熱」や「夕焼けのぬくもり」を感じる人もいます。その“違い”こそが、抽象画の醍醐味です。
初心者が抽象画を楽しむ5つの方法

- 自分なりのタイトルをつけてみる
- 絵に好きな名前をつけることで、作品が自分ごとになります。
- 配色から感情を探ってみる
- 暖色系は情熱やエネルギー、寒色系は静寂や憂鬱を感じさせます。
- 線の動きに注目する
- 曲線は優しさや流れを、鋭い直線は緊張感や断絶を暗示します。
- 視線が止まる場所を探す
- 無意識に目が留まるポイントには、自分でも気づかない感情が隠れています。
- 他人と感想を共有する
- 同じ絵を見てまったく違う感想が出る。それこそが抽象画の魅力。
抽象画の本質:「わからない」を楽しむ勇気
抽象画は、わからなくて当たり前。
そこに不安や退屈を感じる人もいますが、
むしろその「曖昧さ」を抱きしめる感性が求められています。
正解がない。 意味を断定できない。
でも、なぜか惹かれる。
それは、あなたの内面と作品がどこかで“響き合っている”証拠なのです。
まとめ:抽象画は感じるアート。言葉の外にある世界へ
「わからないからこそ面白い」。
それが抽象画の真骨頂です。
学校の美術のように、
「何を描いているのか」「うまいかどうか」
で判断する必要はありません。
むしろ、「どう感じたか」だけが問われる世界。
抽象画は、
あなたの感性を試す鏡であり、
自由への入り口です。
さあ、次に抽象画を見たら、
3秒で通り過ぎずに、30秒立ち止まってみてください。
そこには、言葉では届かない世界が広がっているかもしれません。