絵描きのための作品テーマの考え方・書き方

こんにちは。10年ほどペン画家として活動をしている安藤光と申します。

今回は個展やグループ展、ポートフォリオなどで必要になってくる、
作品テーマ(コンセプト)の考え方や書き方について
書いていこうかと思います。

私自身もまだまだ自分の言葉で簡潔に分かりやすく表現しきれていませんが
少しでもヒントになれば幸いです。

画家活動をしていると雑誌の記事や公募展、レジデンスや企画展などステートメントや解説文を求められる時があります。
ポートフォリオに載せることが多く、コンペなどに参加する際に提出する場合もあります。

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作品テーマとは

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作品テーマ(コンセプト)とは
作者がどんな思いで描いたのか?
一番伝えたいこと、核のようなものです。

長く活動していくなら考えておいたほうがいいです。
これがないと、影響されやすくなってしまったり、
新しいことに目移りしてしまったりして軸がぶれてしまい、
作品が深まっていきません。

深まってない作品がなんでダメなのかは
どこにでもよくある作品にとどまりやすいからです。

内容としては
・自分自身の背景や、制作の動機
・作品や制作活動に共通するテーマ
・今後の展開や、やりたいこと

などなど
(上から順に書いていくと読みやすいかも)

ポートフォリオ全体の整合性という意味で、掲載する作品と関連が薄い内容はあまり書かないようにします。こうすることで、作家のパーソナリティと作品の関連が深まり、中身の濃いアーティストステートメントになると思います

テーマの考え方・書き方

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基本的に書きやすい内容から書いていきます。
作品テーマを考える際、長ったらしく小難しい文章になりがちです。
実際には真逆で「短く」「わかりやすい」文章が求められます。
簡潔に見る人がわかりやすいよう考えていきます。

「何を書いたらいいかわからない」場合は
作品を構成する単語を抽出します。

①テーマ

1.作品全体の共通する要素を見つける

例・・・「写実」「動物」「カラフル」「ペン画」

2.手法やモチーフが作品に与えている印象や意味を言葉にする

例・・・

写実・・・リアル、現実
動物・・・生命野生、ペット、
カラフル・・・エネルギッシュ、元気
ペン画・・・細密さ、シャープ

3.重要な要素をもとにテーマをまとめる

例・・・
野生動物過酷さ懸命に生きようとする姿勢を身近にあるペンを使い克明に表現している。」
要素が作品に与えている意味をまとめると、作品に共通するテーマが抽出できます。

4.テーマから作品の持つ要素などを補足して文章にする

「この厳しい状況の現代を生き抜く人々を泥にまみれた野生動物に見立て、あえてカラフルに描くことで過酷な環境で必死に生きようとする生命力、希望が感じられるような作品を制作」という感じ。

ここまでで
・作品や制作活動に共通するテーマ

が書き終わりました。

次に
・自分自身の背景や、制作の動機を考えていきましょう。

②制作動機

過去の出来事や出身地の特性、制作のきっかけや動機などが
「作品や制作に共通するテーマ」に与えている影響について書きます。

書き方として重要なポイントは「なぜそのテーマに取り組んでいるか」という、制作の動機と作品テーマの関連性が強いことです。この関連を強めることで、内容が深まり記憶されやすくなります。

例えば「〇〇という経験から、今の社会に生きる同世代ついて考えるようになり、テーマとして取り組みだしました」という感じです。

また、作品や制作のテーマにそこまで関係しない事柄はあとの方に少し書くくらいにするか、一切書かない方が内容のまとまりが良くなります。

③今後の展望

これまでの流れを踏まえて、次の制作や取り組みについて、展望を書くこともおすすめです。アピールにもなるし作品テーマの内容が充実します。

書き方のポイントとして、やりたいことといっても唐突なことではなく今までの流れ(制作の動機、制作テーマ)を踏まえて書くことで、どのような作家なのかが伝わりやすくなります。

例えば「A、Bといった作品を連作として再構成し、〇〇というテーマのシリーズとして制作する」という感じです。

作品制作について以外にも、展覧会などへの参加予定や、制作上重要な活動などについて書くのもいいと思います。

内容の順番は前後しましたが

・自分自身の背景や、制作の動機
・作品や制作活動に共通するテーマ
・今後の展開や、やりたいこと

の順にこれまで考えた文章を構成していけば整合性のとれたステートメントになるのではないかと思います。

文字数が足りない時はテーマや動機などをさらに掘り下げていきましょう。

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 おわりに

アート作品というものは意味が複雑に絡み合っていて難解なもので
作品も文章だけでは語り切れない場合が多いです。
そもそも解説文が作品ではなく、あくまで作品を引き立てる「補足」だからです。
作品だけでも未完、文章だけでは表現しきれない、
「表現+解説」があって初めてアート作品と言えるでしょう。
現代のアートはコンセプトを重視する作品が多く、
中でも特化した作品をコンセプチュアルアートと呼ぶぐらい、
作品の要素としては重要です。

ここで紹介した書き方以外にもいろいろやり方はあると思います。
展覧会会場で他作家のポートフォリオにステートメントや作品のテーマが書いてあるのをたくさん見て参考にするのもよいと思います。
大事なのは自分の言葉で書くことです。
長い間活動していくうちに
「なぜ描くのか」「何を描いているのか」がわかってきて
文章もより掘り下げて書けるようになってくると思います。
今は長い文章を書こうとせず、わかりやすく、簡潔に書けるよう
是非挑戦してみてください!

それではまた!