展覧会在廊中に聞かれて困る質問とその回答例

展覧会に在廊していると、作品を観に来てくれた方々との会話が生まれます。

それはとてもありがたく、貴重な時間です。

しかし時に、「ちょっと答えに詰まる」「うまく返せない」ような質問に直面することもあるでしょう。

ここでは、アーティストが在廊中によく受ける“困りがちな質問”と、

それに対するスマートで誠実な回答例をご紹介します。
あなたの言葉選びの参考になれば幸いです。

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質問とその回答例

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①「この作品ってどういう意味ですか?」

なぜ困る?
作品を“正解”で説明したくない作家にとっては、答えづらい質問です。

回答例:

「ありがとうございます。私自身の中には確かにある思いもありますが、見る方によって違う受け取りがあっていいと思っているので、〇〇さんにはどう見えましたか?」

意味を“投げ返す”ことで、対話型のコミュニケーションへと転換できます。

②「なんでこれ、こんなに高いんですか?」

なぜ困る?
価格に対する無意識の否定に、傷つくこともあります。

回答例:

「技法的にも時間はかかっていますが、それ以上にここに至るまでの経験や試行錯誤、そして作品が空間に与える存在感も含めた価格として考えています。」

金額の背景にある「見えない価値」を丁寧に言語化することがポイントです。

③「これ、家に飾るにはちょっと…ですよね?」

なぜ困る?
言外に「飾りたくない」と言われたような気持ちになることも。

回答例:

「確かに“映える”というより、“考えるきっかけになる”ような作品かもしれませんね。でも、そういうものがある空間って、すごく贅沢だと感じるんです。」

相手の視点を受け入れながらも、作品の価値観を肯定する返し方です。

④「生活できてるんですか?」

なぜ困る?
プライベートへの踏み込みや、収入への直撃は心理的負担に。

回答例:

「正直なところ、楽ではないですね(笑)。でも、自分のペースで続けていけることがありがたいなと思っています。」

具体的な額は言わず、前向きな“覚悟”を伝えることで印象が変わります。

⑤「これって●●(有名作家)っぽいですよね?」

なぜ困る?
比較されることで、自分の個性が薄れたような感覚になることも。

回答例:

「そう言っていただけるのは光栄です。確かに影響を受けてきた作家もいますが、そこから自分なりの形を探っているところです。」

否定せず受け止めつつ、独自性を志向していることをさりげなく伝えます。

⑥「売れた?これ買われたの?」

なぜ困る?
売れているかどうかで作品価値を測られるように感じてしまうことも。

回答例:

「いくつかお迎えいただきました(もしくはご縁待ち中です)。売れるかどうかより、まず作品と向き合ってもらえることが一番嬉しいですね。」

“売れた/売れない”を超えた価値に会話をスライドさせましょう。

⑦「趣味ですか?仕事ですか?」

なぜ困る?
“アーティスト”の立場を軽く見られたように感じることも。

回答例:

「仕事というには不安定な側面もありますが、少なくとも生活の“軸”にはなっていると思っています。続ける覚悟だけはプロのつもりでいます。」

生活の中心であることを、言葉の重みで伝える返し方です。

最後に

在廊中の会話に、完璧な正解はありません。

だからこそ、どんな質問にも「自分の言葉で返す姿勢」が伝わると、

それだけで信頼感につながります。

“作品を介した対話”は、展示の醍醐味そのもの。

困る質問も、うまくかわすのではなく、

誠実に“受けとめる力”を少しずつ育てていけたら、

きっと作家としての在り方にも深みが増していくはずです。