目次
はじめに
私も普段の個展は
「ドローイング細密画展」や
「作品展・ペン画展」など固定のタイトルが多いのですが
過去には固有のタイトルで個展を開催してきました。


展示会の準備で頭を悩ませがちな「タイトル決め」。
作品は完成しているのに、タイトルが決まらない。
なんとなく決めて後悔した。そんな経験はありませんか?
本記事では、
展示タイトルの重要性、
決めるための思考法、
避けたいNG例、
実際のタイトル事例まで、
作家目線で分かりやすく解説していきます。
関連記事:個展DMに掲載するメイン作品の選び方【4つのポイント】
なぜ展示会タイトルが重要なのか

第一印象を左右する「名刺代わり」
タイトルは、DM・SNS・看板・会場入口、
すべてに使われる情報の“顔”。
たった数文字で来場者の関心を引き、世界観を伝える力を持ちます。
コンセプトやテーマの“要約”になる
タイトルがしっかりしていると、
作家の思考や方向性が伝わりやすくなります。
言い換えれば、作品群を貫く“芯”を示す手がかりです。
展示タイトルの決め方・5つの切り口
1. 作品テーマを端的に表す
最も王道な方法です。展示全体のモチーフや問いをタイトルに反映します。
例:
- 「呼吸する風景」
- 「記憶の断片」
- 「静けさの形」
ヒント:
タイトル=作品に込めた“問いかけ”と考えると軸がブレにくくなります。
2. 作品から連想される言葉を拾う
タイトルを“ひとつの作品”ととらえ、出品作を眺めながら湧き上がる言葉をノートに書き出していく方法です。
キーワード例:
光、影、揺らぎ、境界、距離、反復、不在、余白
→組み合わせ例:
- 「境界のゆらぎ」
- 「光と不在の間に」
- 「遠くて近い」
3. 日本語と外国語のバランスを使う
インパクトや洗練された印象を出したいときは、外国語を使うのもひとつの手です。
例:
- 「LIMINAL|境界にて」
- 「Traces|痕跡」
- 「solitude – 孤独と対話」
注意: 読み方がわからない・意味が伝わらない外国語だけのタイトルは避けるのが無難です。日本語との併記や副題付きが親切。
4. 展示構成に引っかける
作品順や展示空間に意味を持たせている場合は、それに合わせたタイトルにすることで、鑑賞の導線がより明確になります。
例:
- 「左上から右下へ」
- 「通過するかたち」
- 「点から線へ、そして面へ」
5. あえて抽象・詩的にまとめる
意味よりも“余韻”を大事にしたいときには、詩的な響きや曖昧さを活かすのもありです。
例:
- 「ひとひらの無音」
- 「またたく輪郭」
- 「ひかりの寝息」
タイトルを決める際の注意点
□ 長すぎるタイトルは避ける
読みづらく、DMやポスターに入りきらない可能性も。
→ 理想は15字以内、副題込みでも25字程度に収める
□ よくある言葉の組み合わせは避ける
例:「春の訪れ」「夢と現実」「色とかたち」など。ありきたりで印象に残りにくい。
□ 自分にしかわからない言葉は避ける
あまりに個人的・難解な造語や暗号は、来場者を置き去りにする危険があります。
決まらないときの対処法
・「タイトル仮案メモ」を日頃からつけておく
日常で出会った言葉、読書中に引っかかったフレーズ、夢に出てきた単語などを記録しておくと、展示時に引き出しが増えます。
・信頼できる第三者に相談してみる
作家仲間やキュレーター、文章に強い友人などに意見を求めるのも有効です。
(ただし、他人の言葉に引っ張られすぎないよう注意)
タイトル事例集|インスピレーションの種に
タイトル例 | 補足意図 |
---|---|
「あと一歩、手前の風景」 | 未完成・未到達感を演出 |
「間にあるもの」 | 境界、曖昧さへの興味 |
「呼ばれた気がして」 | 直感的・内的な誘導 |
「余白の時間」 | 時間や空間の解釈を含む |
「不在の肖像」 | 存在しないものへの眼差し |
まとめ|タイトルは“もうひとつの作品”として考える

タイトルは、展示の世界観を言語で伝えるための大切なパーツです。
単なる飾りではなく、
鑑賞者とのコミュニケーションの入口として、
慎重に、でも楽しみながら選びましょう。
迷ったら立ち戻るのは、「この展示で何を伝えたかったか?」という原点。
あなたの作品と来場者の橋渡しになる、誠実で魅力あるタイトルに出会えますように。