プレスリリースで個展をメディアに載せる方法

無料でできる広報戦略としての「プレスリリース」

私は、個展やグループ展を主催する際、基本的に広告費をかけず、無料でできる広報手段として「プレスリリース」を活用しています。雑誌や新聞に掲載されることを目的に、
記者が使いやすい資料を自分で作成し、送付するのです。

体感として2~3件送ると1件は掲載されるという感覚です。
もちろん100%掲載されるわけではありませんが、費用をかけずに露出を得られる手段としては非常に効果的です。

ここでは、私が実際に行っているプレスリリースの作成方法や準備すべき資料、
掲載率を上げるための工夫について具体的に紹介していきます。

関連記事:プレスリリースを個展用に作ってみた【メディア掲載のやり方】

プレスリリースとは?改めて定義をおさらい

プレスリリースとは、企業や個人が新商品・新サービス・イベント開催などの情報を、報道機関に向けて発表する公式文書です。
新聞記者や雑誌編集者が記事を書く際の素材になることを目的とし、ニュース性がある情報を、文章と資料でまとめたものです。

つまり、これはただの「お知らせ」ではなく、「ニュースとして取り上げてもらう」ための文書なのです。

プレスリリースが有効なケースとは?

大企業だけのものと思われがちなプレスリリースですが、個人のアーティスト活動やイベント開催にも非常に有効です。特に以下のような場合、プレスリリースが力を発揮します。

  • 初の個展・グループ展を開催する
  • 地域に根ざした企画を立ち上げた
  • 社会的意義や独自のストーリーがある作品を発表する

私自身も、福島市での個展や県外での展示を開催する際にプレスリリースを送付し、地元紙・地方テレビ・カルチャー雑誌など複数メディアに取り上げられてきました。

実際に送っている資料とは?

私が記者向けに送っているのは、以下のようなシンプルかつ実用的な資料です。

  1. プレスリリース本体(PDFまたはWord)
    • 5W1Hを意識し、「誰が・どこで・なにを・なぜ・いつ・どうやって」を明確に。
    • タイトルは簡潔かつ目を引くものを。例:「福島出身の画家、初の東京個展を開催」
    • リード文で要点を押さえ、本文では背景やコンセプトを丁寧に説明。
  2. 作品画像(JPEG形式)
    • 高解像度で、参考作品2~3点添付。
    • モノクロでも映えるようなコントラストがあるもの
  3. プロフィール資料
    • 自己紹介、これまでの活動歴、受賞歴など。
    • どんな作家がどんな思いでやっているかが伝わると、記事になりやすいです。
  4. チラシやフライヤー(任意)
    • デザインにこだわったチラシは、記事のビジュアル素材としても使われます。
  5. 問い合わせ先(必須)
    • メール、電話番号、SNSアカウントなど。すぐ連絡できる手段を明記。

例えば2025年の個展はこんな感じ↓

書き方のコツ:記事にしやすいかどうかを基準に

プレスリリースは、「そのまま記事に使える」くらい整った文章が理想です。

記者目線で書く

  • 事実ベースで、宣伝臭は出さない
  • 情報の優先順位を意識し、冒頭で要点をまとめる
  • 感情ではなく、客観性のある表現を心がける

記者の方も多忙です。長文や、要点の見えにくいリリースは読まれません。「短く・わかりやすく・役立つ内容」が鉄則です。

誤字脱字ゼロ、ビジネス文書の体裁を意識

  • 砕けた言葉や絵文字などはNG
  • 正確な日本語を使い、校正チェックは複数回
  • 句読点の位置、フォントや余白など細かい見た目にも注意

こうした小さな積み重ねが、メディア側の信頼につながります。

掲載率を高める3つのコツ

  1. 事前に掲載してほしいメディアをリサーチする
    自分の展示が載りそうな雑誌や新聞を事前にチェックしておきましょう。
    どんな情報が多いか、トーンはどうか、過去に似たイベントを取り上げているか。
    「相手に合わせる」ことが、掲載への近道です。
  2. 締切を意識する
    雑誌には編集締切、新聞には記事の〆切があります。イベント開催の最低2~3週間前には送るのが理想。余裕を持ったスケジュールが吉。
  3. 地元性・社会性・ストーリー性を加える
    ただの展示会紹介ではなく、「なぜそれを今やるのか?」「地域や社会との関わりは?」という視点を加えると、記事になりやすくなります。

実際に掲載された事例

私が福島市でグループ展を主催した際、地元紙の記者に送ったプレスリリースが掲載されました。
作品に込めた思いや、地域と結びつけたテーマ性を伝えたことで、「地元文化の担い手」という切り口で紹介され、多くの来場者につながりました。
ほかにも東京での個展情報が美術雑誌に何回か掲載されています。
このように、広報=宣伝ではなく、広報=共感を生む情報発信であることが実感できます。

まとめ:誰でもできる、でも戦略が必要な「無料広報」

プレスリリースは、個人アーティストにとっても強力な武器になります。
費用をかけず、効果的に広く伝える手段として、ぜひ積極的に活用すべきです。

ポイントまとめ:

  • プレスリリースは「ニュースとしての価値」がある情報を届ける手段
  • 記者目線で、正確かつ簡潔に書く
  • ビジュアルやプロフィール資料などを整える
  • メディアに合わせたタイミングと文脈を意識する
  • ストーリーと社会性があると掲載率が上がる

広報活動において、プレスリリースはコストゼロでできる“最強の広報手段”です。
あなたの活動が社会とつながるチャンスを、ぜひこの手でつかんでください。