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イベント販売には「相場観」がある
ハンドメイドイベントや展示即売会などで作品を販売していると、あることに気づきます。
それは、
「この場所では、このくらいの値段なら買ってもらえるだろう」
というような**“相場観”**が存在しているということです。
たとえば、
私はコンビニエンスストアで1,000円〜2,000円程度の買い物をすることはあっても、
1万円以上の買い物をすることはまずありません。
同じように、地元の小さな商店街で2万円の品物を見かけたら、高く感じるかもしれませんが、
銀座の高級ショップなら「そういう価格帯のお店なのだ」と納得してしまいます。
つまり、私たちは**「場所によって、どれくらいなら払っても良いか」
という感覚を自然と持っている**のです。
これが「相場観」です。
価格の「上限」が無意識に決まってしまう

こうした相場観があることで、
イベントでは「本当はこの価格で売りたいけれど、ここでは難しそうだ」と感じることがあります。
作品に自信があり、
制作にかけた時間や技術も十分であっても、
周囲の出品物やお客様の反応を見て、つい価格を下げたくなる。
これは多くの作家が経験していることだと思います。
出展している場の空気感によって、「適正価格」ではなく、
「その場で買ってもらえる価格」に引っ張られてしまうのです。
特に、複数の作家が出品するようなイベントや販売サイトでは、
他の作品との比較が避けられないため、
価格を下げるプレッシャーがかかります。
自分のネットショップには相場観がない
では、自分のネットショップではどうでしょうか。
答えはとてもシンプルです。
相場観がありません。
自分のネットショップは、あなたの世界だけが広がる場所です。
他の作品と横並びにされることもなければ、
「このサイトではこのくらいが普通」という基準も存在しません。
つまり、あなたがその作品に対して
「この価格が妥当だ」と考えるなら、
それがそのまま通用するのです。
お客様も、最初からその作品だけを見て価格を判断するため、
「高い」「安い」という相対的な感覚ではなく、
「この作品に対してこの金額を出したいかどうか」という視点で判断してくれます。
値段で悪目立ちしない安心感

販売サイトやイベントでは、価格が高いと目立ってしまい、「なぜこれだけ高いのか?」と不信感を持たれることもあります。
一方で、価格を下げすぎると「安いからクオリティも低いのでは?」と疑われてしまうリスクもあります。
自分のネットショップであれば、そうした価格による“浮き沈み”が起きにくくなります。
誰かと比べられることがないため、価格も含めて作品の一部として自然に受け入れてもらえるのです。
販売だけでなく「世界観」を築ける場所
ネットショップの最大の魅力は、単に作品を販売するだけの場ではないということです。
作品の写真、紹介文、パッケージ、発送方法にいたるまで、すべてを自分で設計できます。
つまり、「この作品が生まれる背景には、こういう世界観があります」というメッセージを、価格や販売方法も含めて表現できるのです。
それは、お客様にとってもとても大切なことです。
作品そのものだけでなく、作家の考え方や姿勢に共感して購入を決める方も多くいます。
そうしたファンに出会えるのが、自分のネットショップです。
「売れる価格」ではなく「売りたい価格」で勝負できる

イベントや他社の販売サイトでは、「売れる価格」を優先しなければならない場面もあります。
しかし、自分のネットショップでは、「売りたい価格」で勝負できます。
もちろん、最初はすぐに売れないかもしれません。
それでも、価格を理由に購入を見送る人がいれば、それは「今はまだタイミングではない」というだけの話です。
むしろ、価格に納得し、作品に価値を感じた上で購入してくれる人と出会える方が、長い目で見れば強い関係になります。
リピーターになってくれるお客様や、ファンとして応援してくれる人は、作家自身の「軸」がはっきりしている人に惹かれます。
それでも売れないときに売れるためにできること
① 作品点数を増やして接触機会を最大化する
販売サイトに掲載される作品数が多いほど、検索結果や関連作品で露出する機会が増えます。
特に近年のECサイト(minne、Creemaなど)は作品単位でアルゴリズムが働くため、点数が多いほどユーザーの目に留まりやすい構造です。
1点の完成度よりも、まずは「見てもらう入口」を増やすことが第一歩になります。
② 価格は3万円以内を主軸にする
多くのオンラインアートマーケットでは、衝動買いが成立する上限価格が3万円前後。
この価格帯は心理的に「買える贅沢」として選ばれやすく、実際の販売実績でも最も動きが早いゾーンです。
サイズを抑え、額装や送料込みでもこの範囲に収まる設定にすると、初回購入者を取り込みやすくなります。
③ 作風の統一にこだわらず、幅を出す
オンラインで絵を探す多くの人は「作家名」で検索するのではなく、「抽象画 壁」「線画 白黒」などのキーワード検索で出会います。
そのため、ジャンルや雰囲気が異なる複数の方向性を出しておく方が、さまざまな検索に引っかかりやすくなります。
統一感よりも“接触母数を増やすこと”が販売上は有利に働きます。
④ 作品写真に「生活スケール」を入れる
アートはサイズ感が伝わりにくいと購入が躊躇されます。
壁に飾った状態や手に持ったカットなど、日常の中に置いた写真を1枚加えるだけで、購入イメージが一気に具体化します。
特に自然光下の撮影や、無印・IKEAなどの家具と合わせた写真はクリック率を高めます。
⑤ タイトル・タグで検索を意識する
販売サイト内のSEOは、タイトルとタグの付け方で大きく変わります。
「ペン画」「モノクロ」「金箔」「正方形」「リビング」など、素材+色+用途の組み合わせを意識して登録するのがポイント。
ユーザーの検索動線に合わせたタグ設計は、広告費をかけずに露出を増やす最も効率的な方法です。
⑥ 梱包・発送までの“見える信頼”を作る
ネット販売では、作品の実物よりも**「本当に届くか」「丁寧に扱われるか」**が購入の判断基準になります。
梱包の様子を写真で示したり、「無酸紙で包み防湿パックで発送します」と具体的に記載するだけで、購入率が上がります。
特別な演出ではなく、“きちんとしている印象”が最大の信用になります。
自分のネットショップを持つ7つのメリット
ネットショップを持つことは、ただ「販売の場を持つ」だけではありません。作家として活動を続けていく上で、多くの恩恵があります。代表的な7つのメリットをご紹介します。
- 価格を自由に設定できる
他の作家との比較や販売プラットフォームの相場に左右されず、自分が本当に納得できる価格で販売できます。 - 世界観をトータルで表現できる
写真・文章・デザイン・発送方法に至るまで、作品の背景や作家性をまるごと伝える場として活用できます。 - 価格で比較されにくい
単独のショップなので「高い・安い」といった相対評価がされにくく、自分の基準で堂々と値付けできます。 - ファンやリピーターがつきやすい
あなたのショップを訪れるのは「その作家を知っている人」なので、購入率もリピート率も高くなりやすいです。 - 販売戦略が自由に組める
期間限定キャンペーン、送料無料設定、オリジナル特典など、他人のルールに縛られず好きな販売方法が取れます。 - 顧客データが手元に残る
どんな人が、どんなタイミングで、どの作品を購入したかが記録され、次の作品づくりや案内に活かせます。 - 長期的に見てリスクが少ない
プラットフォームの変更や規約改定に影響されず、作家自身の土台として自立した販売環境を築けます。
まとめ:相場観のない場所が、自分の本当の価値を伝えてくれる
作品の価格を決めるとき、
「これは高すぎるだろうか?」
「この場所では受け入れられるだろうか?」
と悩むことは少なくありません。
しかし、自分のネットショップであれば、
周囲の目や相場観に左右されず、本当に自分が納得できる価格で販売することができます。
ネットショップは、自由で、誰の基準にも縛られない場所です。
だからこそ、作家としての「信念」や「価値観」を、まっすぐに届けられる場でもあります。
作品に込めた想いを、適正な価格で伝えたい。
そう考える方にこそ、自分のネットショップをおすすめしたいと思います。
