【絵が売れたら】作品証明書、共シール書いてますか?

意外と見落とされがちな作家の信頼構築ツール

作品を誰かに買っていただいたとき、
あなたは「作品証明書」を一緒に渡していますか?


もし、「そんなもの書いたことない」
「聞いたことはあるけど、面倒でやっていない」


という方がいたら、ちょっと立ち止まってこの記事を読んでみてください。

作品証明書──それはただの紙切れではなく、
作家としての信頼を積み重ねる大切なツールです。
特に、名前がまだ広く知られていない作家ほど、
この「ちゃんとしてる感」が作品の印象や作家の信用に直結することも少なくありません。

関連記事:作品証明書について解説【絵が売れたら用意するもの①】

そもそも作品証明書って何?

作品証明書(Certificate of Authenticity)は、その名の通り「この作品が作家本人によって制作されたことを証明する書類」です。
美術商やギャラリーで扱われるような作品では当たり前に付属しているものですが、個人作家が直接販売する場面では、つい見落とされがちです。

作品証明書に明記される基本的な内容は以下の通りです:(項目はあくまで一例です)

f:id:nyar125:20201204091518j:plain
作品証明書作成例
  • 購入日
  • 作家名
  • 作品タイトル
  • 制作年
  • 技法・素材
  • サイズ
  • エディション番号(版画やプリント作品の場合)
  • サイン
  • 制作意図や補足コメント(任意)

たったこれだけの情報でも、
購入者にとっては「この絵は本物だ」と確認できる大きな安心材料になります。

作品証明書があることで起きる5つの変化

1. 信頼が増す

「ちゃんと証明書を発行してくれる作家さんなんですね」
これ、実際に言われたことがある人も多いはずです。証明書を渡すだけで、相手からの信頼度がワンランク上がることは間違いありません。

2. 購入のハードルが下がる

「自分が持っている作品が本当に作家本人のものかどうか、将来確認できるだろうか?」という不安を解消できるため、購入を迷っている人の背中を押す要素にもなります。

3. 二次流通にも対応できる

証明書は「正規ルートで入手した証拠」にもなります。将来的に作品を手放す際、証明書の有無が作品価値に影響する可能性もあるのです。

4. 作家としての「誠実さ」が伝わる

販売時に証明書を渡すことで、作家として「きちんと責任を持って制作・販売している」という姿勢が伝わります。これは、ファンとの信頼関係構築に欠かせません。

5. 自分自身の制作記録にもなる

証明書の発行は、作品ごとにデータを整理する作業でもあります。
販売管理やポートフォリオ作成にも役立ちます。

無名作家ほど「ちゃんとしてる感」が武器になる

名前が広く知られていないうちは、作品の「ブランド力」だけで勝負するのは難しいものです。
だからこそ、作品のクオリティ以外で信頼を補う仕組みを作ることが大切です。

その中でも最もコストがかからず、手軽に始められるのが「作品証明書の発行」です。

  • 手書きでもOK
  • A5〜A4用紙で十分
  • デザインはシンプルで可
  • 無料テンプレートも多く出回っている

つまり「やるか、やらないか」だけの話なのです。
「プロっぽく見せたい」「安心感を与えたい」なら、今すぐ始められるツールです。

共シールってなに?作品証明書とセットで使いたいアイテム

「共シール」とは、作家直筆のサインシールやオリジナル認証シールのことを指します。
日本画や工芸分野で使われることが多い用語ですが、
現代アートでも導入している作家が増えています。

関連記事:作品裏に貼る共シールとは?

活用方法の一例:

  • 証明書に貼り付けて封印代わりに使う
  • 作品の裏面に貼る
  • 保管箱に貼る

これにより「後から印刷された偽証明書」との区別がつきやすくなり、
証明力が高まります。
また、「この作家は細部まで気を遣っている」という印象を残すことができ、
ブランディングにも一役買ってくれます。

実際どう書けばいい?証明書テンプレート(日本語)

以下に、よく使われる証明書の例を記載します。WordやIllustratorで自作するのも簡単です。

作品証明書

この証明書は、下記の作品が私によって制作されたオリジナル作品であることを証明します。

  • 作家名:安藤 光(例)
  • 作品タイトル:境界を超えて
  • 制作年:2025年
  • 技法・素材:ペン、紙
  • サイズ:210mm × 297mm(A4)
  • 備考:一点物原画
  • 作家サイン:_______
  • 発行日:2025年6月19日

このような形式で、プリント作品にはエディション番号(例:1/10)を加えたり、コメント欄に作品意図を書くことで、より丁寧な印象になります。

よくある質問と対処法

Q. 「証明書って後からでも発行していいの?」

→ 可能ですが、なるべく購入時に渡す方が信頼度が上がります。

Q. 「過去に売った作品、いまさら証明書渡しても意味ある?」

→ 全然あります。特にコレクターや再販希望者にとっては喜ばれます。

Q. 「手書きと印刷、どっちがいい?」

→ 印刷でベースを作り、サインだけ直筆にするとスマートかつ本物感が出ます。

作品証明書の控えを取っておくべき?

1. どの作品を誰に渡したかが明確になる

 → 作家活動を長く続けていると、「あれ、この作品どこ行ったっけ?」ということが本当に起きます。証明書控えがあれば、販売記録として残せます。

2. 再発行依頼に対応できる

 → 「引っ越しでなくしてしまって…」という購入者からの連絡が来た時に、控えがあると安心です。日付・サイン・エディション番号も記録済みなら再発行もスムーズ。

3. 贋作・無断販売対策になる

 → 控えがあれば「これは自分が正式に販売した作品です」と証明できる。逆に控えがないと、トラブル時に主張の根拠が薄くなります。

4. シリーズ作品やエディション作品の管理ができる

 → 同じモチーフで複数制作する場合、どのナンバーが誰に渡ったか把握できるのは、プロ作家として必須。

5. ポートフォリオや作品リスト作成時に役立つ

 → タイトル・サイズ・技法・制作年などがまとまっているので、控えをベースにカタログやサイトも作れます。

🗂おすすめの控えの取り方

  • 紙の控え:A4コピーを取る
  • デジタル控え:PDF保存+作品画像と一緒にクラウド管理(Google DriveやDropboxなど)
  • 作品管理表に併記:Excelなどで作品情報と証明書の発行有無を紐づけておく

関連記事:【画家の仕事】作品リストの作り方【作る意味とは】

購入者には「原本のみ」を渡すのが基本

証明書は一枚のみが正式なものとして価値を持ちます。
複製が出回らないよう、控えは「自分用に保管する」ものであり、
原本は一部のみ発行するのが鉄則です。

まとめ:証明書は信頼の「第一歩」

アート作品は、モノではあるけれど、信頼がなければ成り立たないジャンルです。
SNS時代の今、直接会ったことのない人に自分の作品を届けることも珍しくありません。

だからこそ、「目に見える誠実さ」としての証明書は、大きな力になります。
あなたの作品とあなた自身を守るために、ぜひ今後の制作・販売の中に取り入れてみてください。